親から「年金を払え」と言われる大学生ですが、月1万円以上は払えません。払わないと将来どうなりますか?

配信日: 2025.07.29 更新日: 2025.10.21
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親から「年金を払え」と言われる大学生ですが、月1万円以上は払えません。払わないと将来どうなりますか?
「20歳になったらちゃんと年金を払いなさい」と、 親からそう言われたが正直ピンとこない方は多いでしょう。「大学生のうちは収入も少ないし、今すぐ払わなくても大丈夫なのでは?」という気持ちもあるかもしれません。
 
一方で「払わないと将来どうなるのか?」「何かペナルティーはあるのか?」と気になることもあるでしょう。そこでこの記事では、大学生が年金を払わなかった場合の、将来への影響について解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

そもそも大学生でも年金を払う必要がある?

知らない人も多いかもしれませんが、大学生であっても20歳になったら「国民年金」に加入しなければなりません。
 
なぜなら、日本では、20歳になると国民年金に加入することが法律で義務付けられており、例外は定められていないからです。その際の保険料は職業や年齢に関係なく、月額1万7510円です(2025年度)。
 
支払い能力がありながら国民年金の支払いをしなかった場合、さまざまなデメリットが発生する可能性があります。
 
具体的に言うと、支払いを促すための督促状が自宅に届いたり、最終的には自身の貯金など財産の差し押さえ対象になったりする可能性があります。「学生だから大丈夫」と油断していると、思わぬトラブルに巻き込まれることもあるため、注意が必要です。
 

年金を払わないと支給額が減額される

先に書いたような差し押さえは、そう頻繁に起こっているわけではありません。
 
しかし、1ヶ月でも支払いをしないと確実に起こることがあります。それが支給額の減額です。国民年金を将来満額受け取るには、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)、保険料納付が必要です。これが1ヶ月少なくなるごとに、支給額も連動して減少します。
 
2025年度における、65歳から支給される国民年金額で考えてみましょう。2025年度の支給満額は、年額で83万1696円です。仮に大学生活の間1年間年金を支払っていなかったとすると、その後年金を払い続けたとしても、払った期間は468ヶ月にまで減少します。
 
すると連動して、将来支給される年金額が約81万904円と、2万円ほど減少することになります。加えて、自身に万が一のことが起こった際に、遺族に遺族年金が支給されない場合や、自身が一定以上の障害を負った際に障害年金を受け取れない場合があります。
 

未納よりも学生納付特例制度を

「毎月1万7510円なんて払えない!」という大学生も多いでしょう。そんなときに活用できるのが「学生納付特例制度」です。
 
学生納付特例制度とは、大学生・専門学生などの20歳を迎えた学生が市区町村の役所で手続きすることで、本人の所得が一定以下の場合、年金を支払わなくとも未納扱いにならない、という制度です。それに伴い、将来の老齢基礎年金の受給資格期間が確保できるというものになります。
 
ただし、そのままでは猶予を受けていた期間に応じて、原則65歳から受け取る老齢基礎年金の年金額が減少します。とはいえ、10年以内に猶予された分を「追納」することで、年金額を理論上は満額受け取れるようにすることも可能です。
 

まとめ

大学生が年金を未納のまま放置すると、将来の年金額が減るだけでなく、万が一のときに障害年金や遺族年金が受け取れなくなる可能性があります。
 
とはいえ、収入が限られた大学生にとって、年金の支払いは大変でしょう。支払いが難しければ「学生納付特例制度」の利用も視野に入れるとよいかもしれません。
 
「親から年金を払えと言われたけど、お金がない場合はどうすればいいの?」と思ったら、まずは「学生納付特例制度」の申請を検討してみましょう。
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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