年金「月15万円」を受給していた68歳の夫が死亡しました。67歳でずっと「専業主婦」でしたが、遺族年金は“いつから・いくら”受け取れますか? 夫の「未支給年金」も受給できるのでしょうか?

配信日: 2025.07.30 更新日: 2025.10.21
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年金「月15万円」を受給していた68歳の夫が死亡しました。67歳でずっと「専業主婦」でしたが、遺族年金は“いつから・いくら”受け取れますか? 夫の「未支給年金」も受給できるのでしょうか?
年金「月15万円」を受給していた68歳の夫が死亡しました。67歳でずっと「専業主婦」でしたが、遺族年金は“いつから・いくら”受け取れますか? 夫の「未支給年金」も受給できるのでしょうか?
橋本典子

特定社会保険労務士・FP1級技能士

遺族年金は2種類

遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。遺族基礎年金は、国民年金に加入していた人が亡くなった場合、遺族厚生年金は厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に、一定の遺族が受給可能です。ただし、それぞれ受給要件があります。
 

子どもがいる人の遺族基礎年金

遺族基礎年金を受給できるのは、亡くなった人に生計を維持されていた「子がいる配偶者」または「子」です。「子」には年齢の要件があり、18歳の3月31日まで(1級または2級の障害がある場合は20歳まで)です。
 
つまり要件を満たす子どもがいない配偶者は、遺族基礎年金を受給できません。子どもがいて遺族基礎年金を受給していても、その子が18歳到達年度の3月31日(障害のある場合は20歳)になると、受給権がなくなります。
 
なお、配偶者は事実婚も対象になり、子どもは実子・養子を問いません。
 

受給範囲が広い遺族厚生年金

遺族厚生年金は、亡くなった人が会社員や公務員などだった場合に受給可能な年金です。受給権者は遺族基礎年金より範囲が広く、配偶者・子・父母・孫・祖父母です。ただし、配偶者以外には年齢の制限があります。
 
子どものいる配偶者は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受けられる可能性がありますが、子どもがいない配偶者は遺族厚生年金のみが該当となります。
 

遺族厚生年金は、いつから・いくらもらえる?

老齢年金受給者の夫が死亡した場合、ずっと専業主婦だった妻は、いつから・いくらくらい遺族年金を受給できるのでしょうか?
 

遺族年金の振り込みはいつ?

遺族厚生年金は、被保険者が死亡した月の翌月分からが支給対象です。遺族の口座への振り込みは、原則として偶数月の15日に「前月と前々月の2ヶ月分」が振り込まれます。初回の振り込みは奇数月になることもあります。
 
7月に亡くなった人の遺族年金は、8月分から支給が始まり、早ければ8月分と9月分が10月15日に支払われることになりそうですが、遺族年金の請求タイミングや審査期間などを勘案すると、11月以降になるかもしれません。
 
書類の不備や添付書類の不足がある場合はさらに時間を要するため、申請書類は慎重に準備しましょう。
 

遺族厚生年金の額は?

遺族厚生年金の支給額は、亡くなった人の「厚生年金の報酬比例部分の4分の3」です。報酬比例部分の金額は、現役時代の収入や加入期間によって決まるため、遺族厚生年金の額は一律ではなく、一般に高額な給与等を受けていた人のほうが高くなります。
 
なお、残された妻が老齢厚生年金の受給権者の場合は、次の2つのうち高いほうになります。

●亡くなった人の報酬比例部分の4分の3
●上の3分の2+妻自身の老齢厚生年金の2分の1

タイトルの妻が受給できる遺族厚生年金の額を考えてみましょう。夫の老齢年金15万円のうち、報酬比例部分を「9万円」と仮定すると、ずっと専業主婦だった妻が受給できる遺族年金は、9万円×4分の3で、6万7500円ほどになるでしょう。
 

未支給年金の申請も忘れずに

遺族年金の対象になるのは「亡くなった翌月」からですが、「亡くなった月」までは老齢年金の対象です。受給権者の死亡により振り込まれなかった老齢年金は、「未支給年金」として遺族が受給できます。
 

まとめ

遺族年金の額は意外に少ない、と感じる人は多いかもしれません。また、申請すればすぐに振り込まれるものでもありません。配偶者等が亡くなると、悲しい中でさまざまな雑事に追われるものですが、少しでも落ち着いて対処できるよう、事前に遺族年金についておおまかな額や振り込みまでの期間を把握しておきましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族年金ガイド 令和7年度版
 
執筆者 : 橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士

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