夫婦で「月25万円」の年金を受け取れるから老後はゆとりがあると思っていたら、振込額が少ない!年金はそのままもらえるんじゃないの?
今回は、年金が額面通りもらえない理由や、夫婦で月25万円の年金だった場合、源泉徴収される金額の目安などをご紹介します。
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年金は額面通りもらえるわけではない
年金から引かれるのは社会保険料・所得税・住民税です。65歳以降は勤務していない場合、社会保険料は住んでいる自治体の計算方法にしたがって求めます。
確定申告時などに年金から引かれる税額を求める場合は、まず年金にかかる雑所得額を求める必要があります。年金の雑所得を求めたあとは、その金額を基に各種控除を引き、所得税や住民税額を計算しましょう。
また、源泉徴収されるときの税額は計算方法が変わります。
日本年金機構によると、年金から源泉徴収される所得税は「(年金支給額-社会保険料-各種控除)×5.105%」で計算できます。各種控除は「扶養親族等申告書」を提出していると適用される控除のことです。条件によって適用される控除は変わり、月額の控除額は表1の通りです。
表1
| 控除の種類 | 適用される人 | 月割控除金額 |
|---|---|---|
| 公的年金等控除 | 65歳未満の年金受給者 | 1ヶ月の年金支給額×25%+6万5000円 (最低9万円) |
| 65歳以上の年金受給者 | 1ヶ月の年金支給額×25%+6万5000円 (最低13万5000円) |
|
| 配偶者控除 | 対象の配偶者がいる | 3万2500円 |
| 老人控除対象配偶者相当 | 4万円 | |
| 扶養控除 | 16歳以上の対象の扶養親族がいる | 3万2500円×人数 |
| 特定扶養親族控除 | 5万2500円×人数 | |
| 老人扶養親族控除 | 4万円×人数 | |
| 普通障害者控除 | 本人か生計を同じくする配偶者、扶養親族が障害者 | 2万2500円×人数 |
| 特別障害者控除 | 3万5000円×人数 | |
| 同居特別障害者控除 | 6万2500円×人数 | |
| 寡婦控除 | 本人が寡婦 | 2万2500円 |
| ひとり親控除 | 本人がひとり親 | 3万円 |
出典:日本年金機構「年金にかかる源泉徴収税額」を基に筆者作成
扶養親族等申告書を提出しなかったときは、公的年金等控除のみ適用されます。住民税も源泉徴収はされますが、年金の源泉徴収票には記載されません。金額については、自治体の役場へ問い合わせが必要です。
夫婦で年金の額面が月25万円だと源泉徴収されるのはいくらくらい?
今回は、以下の条件に夫婦の年金が月25万円だったときの社会保険料と所得税の源泉徴収額を求めましょう。
・東京都新宿区在住66歳夫婦
・年金額は65歳時点も同じ
・夫の年金は月15万円
・妻の年金は月10万円
・夫が世帯主で国民健康保険に加入
・適用される控除は公的年金等控除、配偶者控除のみ
・社会保険料は令和7年度のものを使用
・住民税非課税世帯
社会保険料額のうち国民健康保険は世帯単位で世帯主へ納付が求められるため、今回は夫の負担です。国民健康保険料は合計約1万3023円になり、夫の年金から引かれます。一方、介護保険料は国民健康保険とは別に負担が発生し、夫婦それぞれで負担が必要です。今回の条件だと、夫婦の介護保険料はともに1650円です。
夫は社会保険料が合計1万4673円のため、源泉徴収される所得税額は「(15万円-1万4673円-16万7500円)×5.105%」で0円になります。妻の社会保険料額は1650円なので、源泉徴収される所得税額は「(10万円-1650円-9万円)×5.105%」で0円です。
今回の計算結果では、源泉徴収されるのは社会保険料額のみでした。ただし、前年度の所得によっては住民税課税世帯となり、住民税が引かれる可能性もあります。
年金で実際に受け取るのは社会保険料や所得税などが引かれた金額
年金に対しても税金がかかることや、社会保険料が発生することから、受け取れる金額は額面とは異なります。実際に振り込まれるのは、源泉徴収されたあとの金額です。所得税の源泉徴収の税率は決まっているため、年金額が分かっていれば、源泉徴収される所得税や社会保険料額の目安が分かります。
源泉徴収される金額が分かると、老後のライフプランも目途が立ちやすくなるので、一度計算してみるといいでしょう。
出典
日本年金機構 年金に係る源泉徴収税額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
