60歳で「貯金500万円」です。年金を「繰上げ受給」するか悩んでいますが「受取総額」はどれくらい減るのでしょうか?

配信日: 2025.08.02 更新日: 2025.10.21
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60歳で「貯金500万円」です。年金を「繰上げ受給」するか悩んでいますが「受取総額」はどれくらい減るのでしょうか?
人によっては貯蓄額に不安を覚え、年金の繰上げ受給を検討している人もいるでしょう。しかし、年金の繰上げ受給は早く年金を受け取れるようになる一方で、受け取れる金額が減るデメリットもあります。繰上げ受給をするかどうかは本当に貯蓄だけで生活できないかを考えてから決めることが大切です。
 
そこで今回は、60代の平均貯蓄額や年金の繰上げ受給などについて紹介します。
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60代の平均貯蓄額はいくらくらい?

金融広報中央委員会によると、令和5年度での単身世帯かつ60代の人の平均貯蓄額は1468万円です。もし自身の貯金額が500万円だとすると、平均よりは少ないといえるでしょう。金額ごとの割合で見てみると、最も多いのは金融資産非保有者の33.3%、次いで3000万円以上15.1%です。
 
このことから、60代の人の貯蓄額には差があると考えられます。なお同資料によると、60代で貯蓄額が500万〜700万円の人は全体の3.5%です。割合で見ると少なく感じる人もいるでしょう。しかし、60代の貯蓄額の中央値は210万円のため、割合は少ないものの、500万円の貯蓄は多い方に分類される可能性があります。
 
なお、総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上かつ単身無職世帯の平均消費支出は月に14万9286円、非消費支出は月に1万2647円です。対して月の平均実収入は13万4116円のため、収入だけでは月2万7817円、年33万3804円が不足するおそれがあり、それを貯蓄から賄うことになります。
 
もし貯蓄が500万円あると、約15年分を補えるでしょう。ただし、これらの計算は、あくまで平均支出だった場合になります。老後の生活や趣味の内容などによっては15年より短くなることもあるでしょう。
 

年金の繰上げ受給をすると年金はいくらくらいになる?

老後の貯蓄に不安を覚える場合、少しでも早く老後の年金を受け取れる方法として繰上げ受給の選択肢があります。繰上げ受給とは、本来のタイミングである65歳よりも早く年金を受け取れるようになる制度です。ただし繰り上げた月数に応じて受け取れる年金額は減額します。
 
日本年金機構によると、減額する割合は「繰り上げた月数×0.4%」です。最大で60歳まで繰り上げられ、減額割合は最大24%になります。例えば、年金額が100万円の人が60歳まで繰り上げると受給金額は76万円にまで下がります。
 
なお、100万円を65歳から85歳まで受け取ったときと、76万円を60歳から85歳まで受け取ったときで比較すると、前者は合計2000万円、後者は1900万円です。計算結果からも分かるように繰上げ受給は受け取れるタイミングが早くなる分、総額で比較すると少なくなります。
 
年金は一度繰上げ受給をすると、減額された金額のままで毎年受け取ることになります。年金総額を少しでも多く受け取りたい場合は、繰上げ受給ではなく貯蓄を殖やす方法を考えた方がよいでしょう。
 

繰り上げ受給は最大24%受給額が減額する

60代の平均貯蓄額は、令和5年時点で1468万円です。また中央値は210万円であることからも、貯蓄額には同年代であっても人によって大きな差があると考えられるでしょう。
 
貯蓄額が老後に足りるかは、平均額ではなく実際に必要な金額を考えることが大切です。貯蓄だけで足りないと感じる場合は、繰上げ受給の選択肢もあるでしょう。ただし、繰上げ受給を一度選択すると、その後の年金額は減額した割合のままです。
 
繰上げ受給をするかどうか決めるときは、一度現在の貯蓄でも本当に生活ができないのか試算してみるとよいでしょう。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要
日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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