大学生の当時「2年分の年金」を納めていませんでした。全部納めた人と比べて受給額はどのくらい減るのでしょう?

配信日: 2025.08.01 更新日: 2025.10.21
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大学生の当時「2年分の年金」を納めていませんでした。全部納めた人と比べて受給額はどのくらい減るのでしょう?
「大学生の当時『2年分の年金』を納めていませんでした」「納めていなかった年金保険料は、追納したほうがよいですか?」と、気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
本記事では「大学生当時の『2年分の年金』とは何か?」「全部納めた場合と比べて受給額はどのくらい減るのか?」について解説します。学生納付特例制度を利用していた方だけでなく、これから利用を検討するという方にとっても参考になると思いますので、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

大学生当時の「2年分の年金」とは何か?

日本国内に住む全ての方は、20歳になったときから国民年金の被保険者となり、保険料を納付する義務が生じます。しかし、被保険者が学生である場合、収入(所得)がない(または少ない)ために、保険料を納付することが難しいこともあります。
 
「学生納付特例制度」は、在学中の保険料の納付が猶予される制度です。この制度を利用すると、在学中は保険料を納付しなくてもよいとされます。ご相談内容(タイトル)にある「大学生当時の『2年分の年金』」とは、「20歳になった月から大学を卒業するまでの、猶予された国民年金保険料」ということになります。
 
例えば、20歳(大学2年生)から卒業(大学4年生)までの間、学生納付特例制度を利用したとします。この方の誕生月が6月である場合、保険料を猶予された期間は34ヶ月となります。
 
学生納付特例制度を利用した方が注意しなければいけないのは、この制度を利用したからといって、その期間の保険料が免除されるわけではない(納付義務はある)ということです。保険料が免除されたと思って追納(さかのぼって保険料を納付すること)をしないと、将来受け取れる年金が減額されてしまうことになります。
 

全部納めた場合と比べて受給額はどのくらい減るのか?

先述のとおり、学生納付特例で猶予されるのは、国民年金の保険料です。猶予された保険料を追納した(全部収めた)場合と追納しなかった場合で年金受給額がどのくらい減るのか、老齢基礎年金を例に比較してみます。
 
老齢基礎年金の年金額(令和7年4月分から)は、図表1の計算式によって算出します。
 
図表1

図表1

※ 出典:日本年金機構 「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
 
保険料を追納した場合とそうでない場合の年金受給額の差は、「保険料納付済月数」に表れます。図表1の計算式を、保険料を追納した場合とそうでない場合の年金受給額の差を算出するためのものに変形すると、以下のようになります。
 
老齢基礎年金の満額 ×(保険料未納月数 / 480月)
 
例えば、学生納付特例制度により34ヶ月分(大学2年生の6月から大学4年生の3月まで)の保険料を猶予されていた場合、年金受給額の差は以下のように計算できます。
 
83万1700円 ×( 34月 / 480月)≒ 5万8912円
 
つまり、学生納付特例制度を利用し猶予された国民年金保険料34ヶ月分について、追納した場合と追納しなかった場合の年金受給額の差は、令和7年4月分からの年金額をベースに算出すると、年間5万8912円ということになります。仮に年金額の計算式が変わらないと仮定すると、この差は10年で58万9120円、20年で117万8240円となります。
 

まとめ

本記事では「大学生当時の『2年分の年金』とは何か?」「全部納めた場合と比べて受給額はどのくらい減るのか?」について解説しました。まとめとしては、以下のとおりです。
 

・大学生当時の「2年分の年金」とは、学生納付特例制度を利用して猶予された国民年金保険料のこと
・全部納めた場合と比べて受給額は、「老齢基礎年金の満額 ×(保険料未納月数 / 480月)」分だけ減る

 
学生でいる間は、学生納付特例制度を利用することによって、国民年金保険料が猶予されます。しかし、免除されるわけではないため、卒業したら、さかのぼって保険料を納付(追納)しなければなりません。追納しないでいると、将来受け取れる年金額が少なくなります。
 
余談ですが、追納は10年以内であればすることができますが、3年度目以降は経過期間に応じた加算額が上乗せされるため、追納するなら早いほうがよいでしょう。「知らなかった」で損をしないために、本記事が参考になれば幸いです。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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