会社員の妻が亡くなり、13歳の子と父子家庭に! 50歳の私は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の両方を受け取れますか?
年金の加入状況、子どもの有無、年齢などによって受給できる遺族年金の種類は異なり、会社員の方は両方もらえる可能性があります。
本記事では、それぞれの遺族年金を受給するためのポイントを解説します。
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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遺族基礎年金の受給対象者・受給額
遺族基礎年金は、「子のある配偶者」もしくは「子」が受け取ることができます。「子」とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、もしくは20歳未満でかつ障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方をさします。
亡くなった妻と生計維持関係にある夫は、「子」がいれば夫の年齢に関係なく遺族基礎年金が受給できます。
なお、「生計を維持されている」とは、(1)亡くなった人と生計を同じくしていること、(2)前年の収入が850万円未満であること(または所得が655万5000円未満であること)の2つの要件に該当する場合をいいます。別居の場合は、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の要件が必要です。
ただし、死亡当時に年収850万円以上であっても、おおむね5年以内に年収が850万円未満となると認められる場合は、遺族年金を受け取ることができます。
遺族基礎年金の年金額(令和7年4月分から)は、子のある配偶者が受け取る場合は「83万1700円+子の加算額」、子が受け取る場合は「83万1700円+2人目以降の子の加算額」となります。1人目および2人目の子の加算額は各23万9300円、3人目以降の子の加算額は各7万9800円です。
遺族厚生年金の受給対象者・受給額
遺族厚生年金は、厚生年金の加入者が亡くなった際、亡くなった方に生計を維持されていた遺族が受給できます。遺族基礎年金よりも受給対象者が広くなり、以下の遺族のなかで、もっとも優先順位の高い方が受け取ることができます。また、遺族基礎年金と違い、「子」がいなくても受給できます。
1. 子のある配偶者
2. 子
3. 子のない配偶者
4. 父母
5. 孫
6. 祖父母
遺族年金の配偶者については、婚姻の届け出はしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にあった場合も含まれます。「子」は、死亡した方の実子もしくは養子をさします。
遺族厚生年金には、年齢要件があります。
具体的には、夫、父母または祖父母は、死亡時に55歳以上である方に限り受給できますが、受給開始は60歳からです。つまり、55歳未満の夫には遺族厚生年金の受給権はありません。
ただし、遺族基礎年金を受給中の方に限り、60歳より前でも遺族厚生年金を併せて受け取ることができます。子の年齢要件は、遺族基礎年金と同じです。
遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金の「報酬比例部分」の4分の3の金額となります。報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者であった期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算することになります。
まとめ
ここまで、遺族年金の受給対象者や受給額について見てきました。夫については、遺族基礎年金では年齢要件はありませんが、遺族厚生年金では死亡当時、55歳以上であること(受給開始は60歳から)が必要です。ただし、遺族基礎年金を受給中の方に限り、60歳より前でも遺族厚生年金を合わせて受け取ることができます。
遺族年金を受給するには、自分で手続きする必要があります。年金を受ける権利は、5年で時効になりますので忘れずに申請しましょう。
出典
日本年金機構 遺族年金
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
