「遺族年金が振り込まれない!」トラブル急増中?必要書類・よくある落とし穴とは

配信日: 2025.08.04 更新日: 2025.10.21
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「遺族年金が振り込まれない!」トラブル急増中?必要書類・よくある落とし穴とは
配偶者などが亡くなった場合に、収入の助けとなるのが遺族年金です。しかし、遺族年金について詳しくないという人は多いでしょう。そこで本記事では、遺族年金について解説します。
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遺族年金とは

遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入していた人が死亡した場合に、その人によって生計を維持されていた配偶者や子どもが受け取れる年金です。遺族年金には、国民年金に対応する「遺族基礎年金」と厚生年金に対応する「遺族厚生年金」があります。
 
遺族年金を受け取るためには、受給要件を満たしている必要があります。裏を返せば、配偶者などが死亡しても受給要件を満たしていなければ遺族年金を受け取れません。
 

遺族基礎年金について

国民年金に対応する遺族基礎年金の受給要件は以下の通りです。

●国民年金の被保険者である間に死亡したとき
●国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を持っている方が死亡したとき
●老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
●老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

上記の受給要件のうち、いずれかを満たしている遺族は遺族基礎年金を受け取れます。
 
なお、遺族基礎年金を受け取れるのは死亡した人によって生計を維持されていた子ども、もしくは子どもを持つ配偶者です。18歳に到達した年度の3月31日までが、この場合の「子ども」に該当します。子どもがいない配偶者などは遺族基礎年金を受け取れません。
 
遺族基礎年金の受給額は年額83万1700円(昭和31年4月2日以後生まれの方)に、子どもの加算額を足した金額になります。子どもの加算額は2人目まで1人あたり年額23万9300円、3人目以降は7万9800円です(令和7年7月時点)。
 

遺族厚生年金について

厚生年金に対応する遺族基礎年金の受給要件は以下の通りです。

●厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
●厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがによって初診日から5年以内に死亡したとき
●1級もしくは2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき
●老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡した場合
●老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡した場合

上記の受給要件のうち、いずれかを満たしていれば遺族厚生年金を受け取れます。
 
遺族厚生年金の受給対象者となるのは、死亡した人によって生計を維持されていた遺族のうちで最も優先順位が高い人です。対象となる遺族は優先順位が高い順に子どもを持つ配偶者・子ども・子どもを持たない配偶者・父母・孫・祖父母です。
 
遺族厚生年金の受給額は、死亡した人が受け取る老齢厚生年金の4分の3の金額となります。
 

遺族年金の受け取りに必要な書類

日本年金機構による情報を参考に、遺族基礎年金と遺族厚生年金を請求する際に必要な書類とその簡単な解説を表1にまとめました。市区町村役場や年金事務所などに備えられている「年金請求書」に、表1の書類を添付しましょう。
 
表1

書類名 簡単な解説
戸籍謄本もしくは法定相続情報一覧図の写し 戸籍謄本は受給権発生日以降で提出日から6ヶ月以内に交付されたもの
マイナンバーを記入することで添付の省略が可能
世帯全員の住民票の写し 受給権発生日以降で提出日から6ヶ月以内に交付されたもの
マイナンバーを記入することで添付の省略が可能
死亡者の住民票の除票 世帯全員の住民票の写しに含まれていれば不要
請求者の収入が確認できる書類
(所得証明書や課税証明書、源泉徴収票など)
マイナンバーを記入することで添付の省略が可能
子どもの収入が確認できる書類
(高等学校等在学中の場合は
在学証明書または学生証のコピー等)
義務教育終了前は不要
マイナンバーを記入することで添付の省略が可能
市区町村長に提出した
死亡診断書のコピーもしくは死亡届の記載事項証明書
死亡の事実および死亡年月日確認のため
受取先金融機関の通帳等(本人名義)
(預金通帳もしくはキャッシュカードのコピー等)
請求書に金融機関の証明を受けた場合は不要

出典:日本年金機構「遺族基礎年金を受けられるとき」「遺族厚生年金を受けられるとき」を基に筆者作成
 
表1の書類は遺族基礎年金と遺族厚生年金を受ける場合に、全ての人が必要な書類です。状況次第では、そのほかの書類が必要になることもあるため確認が必要です。
 

保険料の納付期間に注意

遺族基礎年金と遺族厚生年金のどちらも、死亡日の前日までに年金の保険料を納付した期間が国民年金に加入していた期間の3分の2を超えている必要があります。なお、保険料を納付した期間には、納付を免除された期間も含まれます。この条件を満たしていない場合、遺族年金を受け取れないため注意してください。
 
なお、死亡日が令和18年3月末までであると同時に死亡者が65歳未満であるなら、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間で保険料の未納がなければ問題ないとされています。
 

必要書類は戸籍謄本や住民票の写しなど

遺族年金とは国民年金や厚生年金に加入していた人が死亡した場合に、その遺族が受け取れる年金です。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。
 
遺族年金を受け取るには、市区町村役場などで手に入る「年金請求書」に戸籍謄本や世帯全員の住民票の写し、請求者の収入状況を確認できる書類などが必要です。また、死亡者の状況などによって必要書類が異なるため、注意して準備しましょう。
 
遺族年金を受け取る際には、死亡者における年金の保険料を納付していた期間に注意が必要です。保険料を納付していた期間が条件を満たしていない場合、遺族年金を受け取れません。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金を受けられるとき
日本年金機構 遺族厚生年金を受けられるとき
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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