“働かずに遺族年金だけで生活”は現実的?月15万円の「遺族年金」で遺された配偶者は生活できる?
この記事では、遺族年金をもらえる条件や、月15万円では現実的に暮らせるのかなどを分かりやすく解説します。さらに、実際の生活費や節約の工夫、足りない場合にとるべき対策も併せてご紹介します。
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「遺族年金」とは? 基礎年金と厚生年金の違い
遺族年金には主に2種類あります。
【遺族基礎年金】
遺族基礎年金の受給要件は主に4つあります。日本年金機構によると、条件は以下の通りです。
1:国民年金の被保険者である間に死亡したとき
2:国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
3:老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
4:老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
2025年4月時点の遺族基礎年金の年金額は、配偶者+子一人で年約83万1700円+子の加算額約(一人の場合は23万9300円)、月額に直すと8万9000円程度です(昭和31年4月2日以後生まれの方)。
【遺族厚生年金】
遺族厚生年金の受給要件は主に5つあります。日本年金機構によると、条件は以下の通りです。
1:厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
2:厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
3:1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が死亡したとき
4:老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
5:老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
遺族厚生年金は子どもの有無にかかわらず支給され、条件次第で中高齢寡婦加算なども加わります。両方の要件を満たす場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金をあわせて受け取ることが可能です。
月15万円あれば生活できる? 足りない場合の対策とは?
総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職単身世帯の方の平均支出は16万1933円でした。タイトルにもある「月15万円の遺族年金」では、1万2000円程度の不足が発生するでしょう。
このように、遺族年金だけで生活費をすべてまかなうのは現実的に難しいケースが多いのが実情です。そこで、不足分をどう補うかを考えておくことが大切です。
まず考えられるのが、貯蓄や生命保険金の活用です。夫婦で蓄えてきた預貯金や、死亡保険からの保険金がある場合、それらを生活費の補填に充てることで、ある程度の余裕を持った生活が可能になります。
とはいえ、治療費や葬儀費用などで一時的に大きな支出が発生することもあり、すべてを生活費にまわすことはできない場合もあります。
次に、年齢や体調に応じて、働くという選択肢も現実的です。パートやアルバイトなどの軽い労働でも、月に数万円の収入があるだけで家計は大きく助かるでしょう。特に、子育てが一段落した後や、健康を維持できている場合には、無理のない範囲で社会とのつながりを保ちながら収入を得る方法を検討するのも一つの方法です。
さらに、生活費の見直しも有効です。たとえば、通信費や保険料の見直し、電気代やガス代の節約、または賃貸住宅などに住んでいる場合は住まいを小さな物件へ移すなどして、支出そのものを抑える工夫をすることで、年金収入だけでもやりくりしやすくなります。高齢者向けの優遇制度や公的支援、各自治体が行っている生活支援策を活用するのもおすすめです。
まとめ:遺族年金だけで“働かずに”生活するのは現実的か?
結論として、「遺族年金だけで働かずに生活できる」となるためには、かなり条件が限られます。
特に「月15万円程度」が遺族年金のみで納まっているなら、一般的な一人暮らしの支出水準には届かず、貯蓄や他の収入なしでは生活困窮のリスクがあることが分かりました。
したがって、「遺族年金だけ」に頼るのではなく、資産や他の収入、支援制度などを併せて備えたうえで、「遺族年金+α」で暮らす準備をしておくことが重要です。単純に「月15万円もらえるから安心」と考えるのではなく、具体的な支出と比較しながら早めに対策を講じることをおすすめします。
あなた自身の遺族年金(基礎・厚生)、現在の生活費、貯蓄や就労可能性を整理し、将来の生活設計に備えていきましょう。
出典
日本年金機構 遺族年金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
