【令和7年度から増額】年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」ってなに?どんな人が対象でいくらもらえるの?
しかし、ニュースなどで制度の存在を知ったものの、「自分も対象になるのか?」「毎月どの程度上乗せされるのか?」など、疑問を持っている人もいるでしょう。
そこで今回は、支給対象者の条件に加え、支給額の計算方法や目安を解説します。
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年金生活者支援給付金とは
「年金生活者支援給付金」は、消費税率10%への引き上げに合わせ、所得が基準額以下の公的年金受給者に対して年金に上乗せして支給される制度です。
物価変動に応じて支給金額が改定される仕組みであり、令和6年における2.7%の物価上昇にともない、給付金の基準額も同率で引き上げられました。その結果、令和7年度の基準額は令和6年度から「140円」アップした「5450円」に変更されています。
支給対象者
年金生活者支援給付金は、表1の通り4種類です。各給付金の条件をすべて満たすと、それぞれの支給対象者となります。
表1
| 種類 | 支給対象者 |
|---|---|
| 老齢年金生活者支援給付金 | ・65歳以上かつ老齢基礎年金を受け取る者(a) ・世帯全員が市町村民税非課税者(b) ・前年の年金収入金額とそのほかの所得の合計が78万9300円以下 (昭和31年4月2日以後生まれの場合) |
| 補足的老齢年金生活者支援給付金 | ・上記(a)(b)と同じ ・前年の年金収入金額とそのほかの所得の合計が78万9300円を超え88万9300円以下 |
| 障害年金生活者支援給付金 | ・障害基礎年金を受け取る者 ・前年の所得額が「472万1000円+扶養親族の数×38万円」以下(c) |
| 遺族年金生活者支援給付金 | ・遺族基礎年金を受け取る者 ・上記(c)と同じ |
出典:日本年金機構 「年金生活者支援給付金の概要」を基に筆者作成
老齢年金生活者支援給付金には、条件の異なる「補足的老齢年金生活者支援給付金」という名称のものもあり、後者の方が対象者の所得基準が高いことが特徴です。
老齢年金生活者支援給付金は、設定された所得の基準額を少しでも上回ると支給対象から外れてしまう制度です。
そのため、わずかに基準を超えた人よりも給付金を受け取っている人の方が結果として収入が多くなるという、本来の趣旨とは逆の状況が生じることがあり、不公平を是正する目的で設けられたとされています。
なお障害年金・遺族年金は、前年の「年金収入金額」に含まれないことに注意が必要です。
支給額の計算方法
支給額の計算方法は、表2の通りです。
表2
| 種類 | 計算方法 |
|---|---|
| 老齢年金生活者支援給付金 | 【(a)と(b)の合計額】 (a)5450円×保険料納付済期間÷480月 (b)1万1551円×保険料免除期間÷480月 |
| 補足的老齢年金生活者支援給付金 | 5450円×保険料納付済期間÷480月×調整支給率 |
| 障害年金生活者支援給付金 | 障害等級1級の場合 6813円(月額) 障害等級2級の場合 5450円(月額) |
| 遺族年金生活者支援給付金 | 5450円(月額) |
出典:日本年金機構 「年金生活者支援給付金の概要」を基に筆者作成
給付金の種類によって若干異なるものの、いずれも月額数千円程度となるでしょう。自分の保険料納付状況の詳細は、送付される年金証書や支給額変更通知書などで確認しましょう。
支給の流れ
年金生活者支援給付金の支給の流れについてここでは、新たに請求するケースを見ていきます。
老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金
65歳を迎えて老齢基礎年金の受給資格を得た人に対して、誕生日の約3ヶ月前に年金請求に必要な書類一式と一緒に請求書が送付されます。必要事項を記入し、年金の請求書とセットで年金事務所に提出してください。
障害・遺族年金生活者支援給付金
障害あるいは遺族基礎年金とあわせて、請求手続きを行いましょう。請求書に氏名などの必要事項を記入し、年金事務所に提出します。
年金生活者支援給付金は、所得が一定額以下の年金受給者に対して月数千円程度支給される
年金生活者支援給付金は、年金だけでは生活が苦しい人をサポートする制度です。物価上昇にともない支給額が引き上げられ、受給者の生活のさらなる支援を行います。
支給対象となるには、所得が一定額以下であったり、世帯全員が市町村民税非課税者であったりするなどの条件を満たす必要があります。月額数千円程度ではあるものの、継続的な助けになるはずです。
「少しでも支援を受けられるなら助かる」と考えている人は、自分が対象かどうかを事前に確認しておくといいでしょう。
出典
日本年金機構 年金生活者支援給付金
日本年金機構 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
