「2025年」の「制度改正」で「在職老齢年金」は「50万円」を超えた? なぜ制度が改正されたの?

配信日: 2025.08.07 更新日: 2025.10.21
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「2025年」の「制度改正」で「在職老齢年金」は「50万円」を超えた? なぜ制度が改正されたの?
2025年度の制度改正により、在職老齢年金の支給停止調整額が引き上げられました。これにより、働きながら年金を受け取る人は手取り収入が増える可能性があります。
 
そこで今回は、在職老齢年金の改正のポイントや背景について詳しく解説していきます。現在、年金を受け取りながら働いている方はぜひ参考にしてください。
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在職老齢年金とは

在職老齢年金とは、厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取る場合に、一定の収入を超えると老齢厚生年金の受給額が調整される制度です。支給停止となるかどうかの基準は、1ヶ月分に相当する会社の報酬(給与や賞与など)と、1ヶ月の老齢厚生年金が基準額を超えるかどうかになります。
 
これを判断するための金額を「支給停止調整額」といい、2025年の制度改正ではその金額が2024年の50万円から51万円へ変更になりました。
 

支給停止調整額を構成する2つの要素

日本年金機構によると、支給停止調整額の算出に必要な2つの要素は以下の通りです。


基本月額:「加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額」
総報酬月額相当額:「(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12」

この2つの合計が51万円を超える場合、超えた額の1/2が老齢厚生年金から支給停止される仕組みです。
 

総報酬月額相当額を構成する2つの要素

総報酬月額相当額における標準報酬月額とは、会社で働いている方が受け取る月々の給与を、一定の幅で区分した等級に当てはめたものです。健康保険料や厚生年金保険料の計算、そして将来の年金額の計算の基礎となります。給与だけでなく、残業手当や通勤手当なども含んだ税引き前の総支給額が対象です。
 
また、標準賞与額は会社から支給される賞与(ボーナス)の額(1000円未満は切り捨て)のことです。こちらも社会保険料の計算の基礎となります。総報酬月額相当額は、標準報酬月額の12ヶ月分と標準賞与額の合計を12で割ることで算出されます。
 
ご自身の給与や賞与といった報酬と、受給できる老齢厚生年金の月額を把握することで、年金が調整されるかどうかの目安を理解できるでしょう。
 

制度改正の背景

在職老齢年金における支給調整額は2026年4月からさらに62万円へと引き上げられる予定です。その背景には、年金を受け取りながら働くシニア層の労働環境をよりよくすることが目的とされています。
 
内閣府の発表によると、65歳以上になっても働く人の割合はここ40年間以上、ゆるやかに上昇しています。しかし、従来の制度では賃金と年金の合計が一定額を超えると老齢厚生年金が減額されるため、働きすぎによる「支給停止」を避けて労働を控える「働き控え」が起きていました。
 
今回の上限引き上げにより、年金の調整を気にせず働きやすくなることが期待されており、厚生労働省の試算によれば、新たに約20万人が老齢厚生年金を満額受給できるようになる見込みです。
 

まとめ

定年後も年金を受け取りながら仕事をする人の収入が一定額を超えると、老齢厚生年金の額が調整される制度を「在職老齢年金」といいます。支給停止の判断は、支給停止調整額である51万円を超えるかどうかです。2024年は「50万円」だった支給停止調整額は、2025年に「51万円」となりました。
 
厚生労働省の発表によると2026年はさらに62万円へとなる予定です。改正の背景には、定年後も年金を受け取りながら働くシニア層の働き控えをなくし、人手不足の解消につなげたいという政府のねらいがあるようです。
 
今後も制度が変わる可能性があるため、定年後も働く予定がある場合は、最新情報をこまめにチェックするようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
内閣府 令和6年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況(第2節 1)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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