【月収30万円の会社員】将来の年金は月いくらでしょうか? 年金額だけで生活できそうですか?
国民年金は加入期間によって、厚生年金は加入期間と現役時代の平均年収によって算出されますが、仮に現役時代の平均年収が360万円(月収30万円)の方が、23歳から60歳まで37年間加入したとして、その給付額はいくらになるでしょうか?
また、その金額で生活を維持することができるのでしょうか?本記事では、これらの点について解説していきます。なお、本文中では、試算に三井住友銀行の「年金試算シミュレーション」を用いています。
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
目次
現役時代の平均月収30万円の場合、老齢年金は月額約12万円
会社員として37年間勤続し、現役時代のボーナスも合わせた平均月収が30万円(年収360万円)ある方ならば、受け取れる老齢年金の給付月額は国民年金6万4000円+厚生年金5万9000円の12万3000円になります。
もし配偶者がいれば、その方の老齢給付も上乗せできますが、老齢給付は現役時代の所得を全て賄える制度設計にはなっていません。
年金だけで現役時と同じ生活水準を維持するのはリスクがある
老齢給付だけで、現役時代の収入を維持することはできません。配偶者の年金と合わせることで年金収入が増えますが、夫婦の一方が亡くなった場合、年金額も低下するリスクがあります。また年金額も一定ではなく、配偶者との死別のほか、インフレ等経済状況の変化でも給付水準は変動します。
仮に現在の月々の支出を年金額だけで賄えるとしても、将来的には介護をする必要が生じたり、医療費が増加したりする懸念があります。ある程度の余裕を持っておかないと、老後生活が立ち行かなくなる恐れがあります。
老後の生活資金はいくらくらい必要か?
老後の生活にかかる一般的な費用は月額28万円で、余裕のある生活を送るには月額35万円といわれていますが、さらに「持ち家か賃貸か」などといった資産状況によっても左右されるため、個人差が大きくなっています。
年金だけで老後の生活を営みつつ、病気といった不測の事態に備えるための貯金も並行して行うには、支出をできるだけ抑える必要があります。支出を抑えるには、例えば以下のような対策が効果的です。
・家計簿などで収支状況を把握する
・家賃などの固定費の上昇を抑える
・スマホを格安スマホに変えるなど、固定費を安価で代替可能なものに切り替えていく
年金額の増額も検討する場合の選択肢と注意点
老齢年金の受給方法には、支給開始年齢を後ろ倒しする「繰下げ受給」があります。
繰下げ受給の増額率は繰下げた月数×0.7%で、最大84%まで増加することができます。年金額が月額12万3000円ならば、最大約10万円の増額が可能なので、年金額だけで老後生活を送りやすくなります。
このほかに、iDeCo(個人型確定拠出年金)や個人年金保険などで、年金額を増加することも可能です。
しかし個人年金保険には、給付期間の決まっている有期年金であるものや、被保険者が死亡すると保険金給付が終了してしまうものもありますし、またiDeCoは年金額の総額が運用成果によって決まるため、確実性に欠ける面もあります。
年金額の増額を検討する際は、各制度の特徴と注意点をよく把握してから行うとよいでしょう。
まとめ
本記事でシミュレーションした結果、勤続37年で月収30万円の会社員の方の場合、年金額は月額約12万3000円となります。配偶者がいる方の場合は、ここに配偶者の年金も加わります。
しかし、一般的な老後の生活費は月額28万円といわれており、年金額12万3000円だけではこの金額には達しない可能性が高く、また介護や病気にも備える必要があります。
老後の生活費は個人差の大きい支出ですが、この年金額だけで老後生活を乗り切るのは難しいかもしれません。対策としては、一般的な老後の生活費よりも支出を抑えたり、繰下げ受給などによって年金額を増加させたりするとよいでしょう。
老後資金が不足すると、健康状態によっては働いて収入を増やすことができず、老後貧困に直結してしまう恐れがあります。年金額や蓄えが少ない場合は、しっかりとした資金計画を立ててから、老後の生活に入ることをおススメします。
出典
株式会社三井住友銀行 年金試算シミュレーション
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者 : 菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表
