50歳のパート主婦「ねんきん定期便」の“月7万円”記載にショック! 扶養を抜け「月収17万円」のフルタイム勤務になれば、年金は増えるのでしょうか? 受給額の“増やし方”も確認
本記事では、扶養を抜けて月収17万円のフルタイムで働いた場合、将来の年金がどれくらい増えるのかを試算します。併せて、社会保険料の負担をどのように考えるべきかについても解説します。
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【試算】月収17万円で15年働くと年金はいくら増える?
50歳から月収17万円で働き、65歳までの15年間厚生年金に加入した場合、将来の年金額は年間約17万円、月にして約1万4000円増える見込みです。 つまり、ねんきん定期便に「月7万円」と記載されていても、15年働けば月8万円以上になる可能性があります。
増加分の対象は、厚生年金の「報酬比例部分」です。計算式は以下のとおりです。
平均年収×加入年数×0.005481
今回のケースでは、204万円(17万円×12ヶ月)×15年×0.005481≒年間約17万円の上乗せとなります。扶養内で働く場合は、受け取れるのは国民年金(基礎年金)のみですが、厚生年金に加入すれば報酬比例の上乗せも受け取れます。年金制度は「2階建て構造」になっており、収入と加入期間に応じて受給額が増える仕組みです。
社会保険料の負担はデメリット? 将来へのリスクヘッジと捉える
扶養を外れて働くと、年金が増える一方で、毎月の社会保険料負担が発生します。
例えば、東京都の協会けんぽの場合、50歳で月収17万円のフルタイム勤務なら、健康保険と厚生年金で約2万5000円が給料から天引きされます。
月1万円弱の年金を増やすために手取りから保険料が引かれると、「損をしている気分」になるかもしれません。ただし、将来の年金増加に加え、次のような保障も受けられます。
●傷病手当:病気やけがで働けなくなっても、収入の約67%を最長1年6ヶ月保証
●障害厚生年金:障害を負った際、上乗せで支給される年金
●遺族厚生年金:万一の事態の際に遺族に上乗せで支給される年金
このように社会保険料は、年金増額にとどまらず、万一の事態への備えとなる「保険料」としての役割もあります。
50歳からさらに年金を増やす方法
フルパートで働く以外にも、「もっと年金を増やしたい」と考える人もいるでしょう。工夫次第でさらに増やすことが可能です。
1つは、60歳以降も厚生年金に加入して働くこと。国民年金は20歳から60歳未満の全員が対象ですが、厚生年金は70歳まで加入可能です。常時従業員を雇用する企業で、フルタイムまたは正社員の4分の3以上の勤務条件を満たせば加入できます。パートやアルバイトでも、条件を満たせば対象です。
もう1つは、年金の繰下げ受給です。老齢年金は原則65歳から受け取れますが、受給開始を遅らせると、1ヶ月ごとに0.7%ずつ年金額が増えます。
例えば、65歳から受け取った場合に月8万円の年金を、70歳から受け取ると42%増で月11万3600円になります。75歳からなら84%増で月14万7200円となり、最大で月6万7200円増える計算です。
このように、「長く働く」+「受給時期を繰り下げる」ことで、年金を着実に増やすことができます。
まとめ
ねんきん定期便に「月7万円」と記載されている場合でも、フルタイムパートに切り替えることで、将来の年金が月8万円ほどに増える試算が今回出ました。社会保険料の負担は発生しますが、その分、年金を含むさまざまな保障を受けられるのは大きなメリットです。
さらに年金を増やすには、60歳以降も厚生年金に加入して働く、あるいは受給開始を繰り下げるという方法もあります。将来に備え、できることから準備を始めてみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 は行 報酬比例部分
全国健康保険協会 令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
厚生労働省 パート・アルバイトの方向け社会保険加入のメリット
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
