収入が安定してきたので、学生時代に猶予された「国民年金保険料」の「約80万円」を納付したいです。そもそも「追納」はできるのでしょうか?

配信日: 2025.08.10 更新日: 2025.10.21
この記事は約 3 分で読めます。
収入が安定してきたので、学生時代に猶予された「国民年金保険料」の「約80万円」を納付したいです。そもそも「追納」はできるのでしょうか?
学生時代に、学生納付特例制度を利用して国民年金保険料の支払いをしていなかった人もいるでしょう。社会人になり収入が安定してくると、将来受け取る年金を見据えて学生時代に支払っていなかった保険料を後から支払おうと考える人もいるかもしれません。
 
そこで今回は、国民年金の追納制度について詳しく解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

学生納付特例制度なら10年以内の保険料を追納できる

日本国内に住む人は、20歳になると国民年金に加入して毎月保険料を支払わなければいけません。しかし、何らかの理由で保険料の支払いが厳しく免除や猶予を利用した場合、10年以内であれば保険料を後から支払える制度として追納制度があります。
 
免除は保険料を納めることが経済的に困難な場合に保険料を支払わなくて済む制度で、状況に応じて、全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除などがあります。
 
一方で、猶予は保険料の支払期限をのばすことです。具体的には所得が一定の基準を下回る方や学生などが該当します。
 
ただし、追納できる期間は10年以内と決まっています。実際には、追納の申請手続きをして承認された月の前10年以内となるため、追納する際は早めの手続きが安心です。
 

追納のメリット

前章でみた保険料の免除や猶予では、その時点での保険料の負担を減らせる一方で、保険料を払い続けた人と比べて老齢基礎年金の受給額が減ってしまうというデメリットもあります。そこで、追納制度を利用して未納だった保険料を支払うことで、年金受給額の増額が可能というわけです。
 
具体的には、1年分の保険料を追納した場合に増える年間の年金受給額は次の通りです。

●全額免除の場合:年間で約1万円の増額
●保険料納付の猶予の場合:年間で約2万円の増額

今回のケースのように、学生特例納付制度を利用した場合の保険料を4年分追納すると、年間で約8万円受給額が増える計算です。
 

追納する場合の注意点

免除や猶予の承認後、一定期間が経過すると保険料の加算額が生じることがあるので注意が必要です。そもそも国民年金保険料は1ヶ月あたりの金額が毎年一律で定められています。
 
免除や猶予の承認を受けた翌年から3年以上経過した保険料をあとから支払う場合、あらかじめ決められた保険料にこれまでの期間に応じた金額が加算されます。
 
例えば、令和4年度の毎月の国民年金保険料は1万6590円でしたが、令和7年度に追納する場合は1万6740円と1ヶ月あたり150円が加算される計算です。同様に、令和3年度分の毎月の加算額は250円、令和2年度は280円と、過去の保険料になるほど加算額も増えていきます。
 
今回のケースに当てはめてみると、学生納付特例免除制度を利用した期間と平成27年度~平成30年度とした場合の追納金額とそのうちの加算額を表1にまとめました。
 
表1

追納する金額 加算額
平成27年度分 19万1160円 4080円
平成28年度分 19万9200円 4080円
平成29年度分 20万1840円 3960円
平成30年度分 19万9800円 3720円

※参考サイトを基に筆者作成
 
追納する総額79万2000円のうち、加算額は1万5840円です。ひと月あたりの加算は小さな金額でも、何年かまとめて支払う場合には加算額も増えていくため資金に余裕ができたらできるだけ早く支払うとよいでしょう。
 

学生納付特例制度は追納が承認された月の前10年以内なら追納できる

国民年金の追納制度とは、10年以内であれば免除や猶予の承認を受けた保険料をあれば後から支払える制度です。手続きは、日本年金機構の公式サイトから追納申込書をダウンロードして必要書類とあわせて提出する、あるいはねんきんネットでも追納の申込書が作成可能です。
 
追納を行うと、将来受け取れる年金額を増やせるというメリットがある一方で、3年以上経過した場合は本来よりも多く保険料を支払わなければいけないため注意が必要です。
 
ひと月あたりの加算額はそれほど大きな金額ではありませんが、支払いが後になるほどに加算額は増えていきます。追納を希望する場合は、できるだけ早く手続きを行うと安心です。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 国民年金保険料の変遷
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問