高齢の母が「オレンジ色の年金手帳は持っているけど、青色は持っていない」と言っています。母は年金を正しく受け取れないのでしょうか?
年金手帳の色に何か意味合いがあるのか、色によって何が違っているのか、正しく受給できているのかをお話ししします。
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
そもそも年金手帳は……
実は年金手帳は、2022年4月の年金制度改革によって廃止されています。よって、それ以降に初めて被保険者資格の取得手続きを行った方は年金手帳を持っていません。その代わり、基礎年金番号通知書が送付されています。
まずは、年金手帳をお持ちの、それ以前に被保険者資格を得た方に向けてお話しします。
年金手帳とは、そもそも20歳以上の方が国民年金に加入する手続きを行うことで交付される年金関連の情報が記載されている手帳で、氏名、生年月日、基礎年金番号が記載されています。また、退職等で加入している年金に変更があった場合にはご自身で記載できる欄もあります。
年金手帳に使用方法ですが、年金手帳は年金に関係する手続きを行う際に必要になるため、下記のような場合に使用します。
●退職して国民年金に加入する場合
●就職して厚生年金に加入する場合
●年金を受け取る場合
●その他、年金に関する相談をする場合
また、年金手帳の色の違いの変遷は、表1のとおりです。
表1
1.厚生年金保険被保険者証
この期間に厚生年金被保険者資格の取得手続きを行った方へ発行されます。
2.茶色の年金手帳
この期間に国民年金の被保険者資格の手続きを行った方へ発行、茶色の他に水色や薄橙色があります。
3.オレンジの年金手帳
この期間に被保険者資格を行った方へ発行されます。
4.青色の年金手帳
この期間に被保険者資格を行った方へ発行され、平成21年12月までは「社会保険庁」、それ以降の発行は日本年金機構となっています。
5.基礎年金番号通知書
Aさんのお母さんが被保険者資格を得たのは昭和49年11月から平成8年12月の間で、Aさんは平成9年1月以降に発行されたものを持っているということが分かります。
年金は正しくもらえるの?
上記のとおり、年金手帳の色は被保険者資格を得た時期によって異なるものですので、年金は正しく受け取ることができるでしょう。
ただし、オレンジ色の場合は、配布されたときに基礎年金番号が統一されておらず、国民年金番号や厚生年金番号が割り当てられおり、基礎年金番号が導入された際に不明の年金番号が多数発見されています。
基礎年金番号が配布されていない者に該当している可能性がありますので、基礎年金番号が記載されているかを確認しておいたほうがいいでしょう。
また、年金手帳を複数冊持っている場合は、青色の年金手帳があれば、そこに記載された記号番号がその方の基礎年金番号となります。すべての年金手帳の番号を確認して同じ番号であれば、どれか1冊を保管してください。
ただし、もし番号が異なる場合には年金加入記録が複数に分散している可能性があります。その場合は、現在厚生年金保険に加入している場合には会社へ、それ以外の方は最寄りの年金事務所へ、それらすべての年金手帳を提出し手続きを行うようにしましょう。
基本的には色が違っても問題ありません
Aさんとお母さんの年金手帳の色が異なるのは、単に被保険者資格を得た時期が違うだけのことです。ただ、上記にも書いていますが、オレンジの年金手帳の場合は基礎年金番号を確認する必要があります。もし心配なのであれば、お母さんと一緒に確認するのもいいかもしれませんね。
出典
日本年金機構 基礎年金番号・基礎年金番号通知書・年金手帳について
執筆者 : 田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

