私の年金、20万円以下って普通? 平均的な受給額と老後に必要な生活費とは

配信日: 2025.08.12 更新日: 2025.10.21
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私の年金、20万円以下って普通? 平均的な受給額と老後に必要な生活費とは
「私の年金収入、月額で20万円以下なんだけど、それって普通なの……?」
 
年金生活者にとって、自分の受給額が平均と比べてどうなのか、不安になるのは自然なことです。
 
本記事では、厚生労働省のデータから受給額の平均を整理し、あわせて老後の支出平均を紹介します。さらに、年金だけでは足りないケースや老後資金の備えについても分かりやすく解説します。
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年金の平均受給額|厚生年金・国民年金の実態

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金の受給権者における平均年金月額は14万6429円で、男性は16万6606円、女性は10万7200円となっています。この金額には老齢基礎年金(=国民年金)も含まれています。
 
一方、国民年金(老齢基礎年金)のみを受給している人の受給権者における平均年金月額は5万4540円です。厚生年金に加入していない場合、年金の受取額はこの水準にとどまるため、生活に必要な費用をまかなうのが難しい可能性が高いでしょう。
 
これらの数字を見ると、「月20万円以下」という年金額は決して珍しくなく、むしろ平均的といえるでしょう。厚生年金加入者でも20万円に満たないケースは多く、年金額が20万円を超える人は全体の中でも限られた存在です。
 

老後に必要な生活費との比較|平均的な支出はどれくらい?

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における月間消費支出は25万959円で、非消費支出(税金や社会保険料など)を含めた全体の支出は約28万2500円に上ります。
 
一方、高齢単身無職世帯(65歳以上の一人暮らし)の場合、月の消費支出は14万5430円、総支出は約15万7700円となっています。
 
このように見ていくと、年金収入だけで老後の生活費をまかなうのは、世帯の規模にかかわらず難しい状況です。夫婦世帯の年金を含む社会保障給付は平均で約21万8000円、単身世帯では約11万8000円となっており、その他の収入を含めても、夫婦世帯では月約4万円、単身世帯でも月3万円ほどの不足が発生しています。
 
この収支ギャップは、貯蓄の取り崩しや退職後の働き方、支出の見直しなどで補う必要があります。
 

年金だけでは足りない? その理由と備えの考え方

公的年金だけで老後の暮らしを十分にカバーするのが難しい背景には、いくつかの理由があります。まず、支出の多くは生活必需品や医療費、住宅維持費など、年齢を重ねても削るのが難しいものです。加えて、長寿化による「老後期間の延び」も家計に大きな影響を及ぼします。
 
また、年金制度そのものが「老後の基礎的な生活保障」を目的として設計されており、「余裕ある生活」を想定していない点も理解しておく必要があります。そのため、多くの人にとって、年金以外の収入源や資産運用が、安心して暮らすためのカギとなります。
 
一方で、繰下げ受給によって年金額を増やす、国の支援制度(高額療養費制度や介護保険制度など)を積極的に活用するなど、工夫次第で老後の不安を軽減する方法もあります。
 

まとめ

月20万円以下の年金収入は、決して特別なものではなく、むしろ平均的です。老齢厚生年金受給権者における平均年金月額は約14万6000円、国民年金のみの人では約5万5000円とされており、生活費の平均額と比べると多くの人が収支不足に直面していることが分かります。
 
しかし、「足りない」という事実を正しく認識することが、備えを始める第一歩です。年金だけに依存せず、働き方、貯蓄の活用、公的制度の活用などを通じて、現実的な老後設計を立てていくことが、安心した老後の実現につながります。
 

出典

厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 (参考資料3)厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数(26ページ)、(参考資料4)国民年金 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数(27ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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