同じ世帯年収「1000万円」でも片働きと共働きでは年金額が「40万円以上」違うケースも!? 多く受け取れるのはどっち?

配信日: 2025.08.14 更新日: 2025.10.21
この記事は約 4 分で読めます。
同じ世帯年収「1000万円」でも片働きと共働きでは年金額が「40万円以上」違うケースも!? 多く受け取れるのはどっち?
世帯年収が同じでも、夫婦の働き方などによって年金額は変わります。片働きと共働きで比較したいときや、自身の世帯の年金額を知りたいときは、年金の計算方法を知っておくとおおよその目安が分かるでしょう。
 
今回は、年金がどうやって決まるのか、また同じ世帯年収の片働きと共働きで年金がいくらくらい変わるのかなどについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

年金はどうやって決まる?

基本的に、老後に受け取れる公的年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金により受け取れる合計金額が決まります。まずは、各年金の金額の決まり方を解説していきましょう。
 

老齢基礎年金

老齢基礎年金は、国民年金保険料の支払い状況により決まる年金です。基本的に、20~60歳まで欠かさず支払っていれば65歳から満額を受け取れます。
 
年金額は年度によって変わり、令和6年度は満額で月額6万8000円、年間81万6000円、令和7年度は月額6万9308円、年額は83万1700円です(生年によって変動する場合があります)。
 
もし支払っていない期間や免除期間がある場合は、以下の計算式に当てはめて受給金額を求めることができます。
 
・年金の満額×{(年金保険料を支払った月数+全額免除の月数×2分の1+4分の1納付月数×8分の5+半額納付月数×4分の3+4分の3納付月数×8分の7)/480ヶ月}
 
なお、納付猶予制度を利用した場合、上記の計算式の支払った月数や免除月数としては加算できません。また、免除期間の時期や生年によっては計算式が変わることがあるので注意しましょう。
 

老齢厚生年金

老齢厚生年金は、厚生年金に加入し保険料を納付していた場合、老齢基礎年金に上乗せする形で支給される年金です。
 
基本的な金額は、報酬比例部分により決定されます。報酬比例部分の計算式は厚生年金の加入期間が平成15年3月までと同年4月以降で異なり、平成15年4月以降の場合は以下の式で年額が求められます。
 
・平成15年4月以降:平均標準報酬額×0.005481×平成15年4月以降の加入月数
 
平均標準報酬月額は、対象期間の標準報酬月額の平均値です。また、平均標準報酬額は対象期間の標準報酬月額と標準賞与額の合計の平均値を指します。
 
標準報酬月額は、税金が引かれる前で各種手当も含めた給料を、一定金額ごとに区分した報酬月額の該当する等級の金額です。標準賞与額は、税金が引かれる前の年3回以下のボーナスのうち1000円未満を切り捨てたものをいいます。支給1回につき、上限は150万円です。
 

世帯年収1000万円の片働き世帯と共働き世帯の年金額の差

今回は、以下の条件で世帯年収1000万円の片働き世帯と共働き世帯の年金額の差を比較しましょう。


・夫婦2人のみの世帯で片働き世帯は1人で年収1000万円、共働き世帯は年収500万円ずつ
・国民年金は全期間満額納付している
・老齢基礎年金は令和7年度の金額とする
・年収を12ヶ月で割った金額を報酬月額とする
・厚生年金の加入期間は22~65歳の43年(516ヶ月)
・厚生年金には平成15年4月以降に加入
・収入は全期間で一定とする
・ボーナスは考慮しない
・報酬比例部分を老齢厚生年金額とする

まず、国民年金は全期間満額納付しているため、それぞれの世帯における老齢基礎年金額は合計166万3400円ずつです。
 
また、条件を基にすると、年収1000万円の場合の報酬月額は約83万3333円、厚生年金において報酬月額63万5000円以上は標準報酬月額が65万円になります。ボーナスを考慮しないため、報酬比例部分は約183万8327円です。夫婦の老齢基礎年金額を足すと、片働き世帯の年金額は合計約350万1727円になります。
 
一方、年収500万円の場合の報酬月額は約41万6667円、標準報酬月額は41万円です。計算式に当てはめると、報酬比例部分は約115万9560円になります。共働き世帯は年収500万円が2人なので、合計老齢厚生年金額は約231万9120円です。老齢基礎年金額と合計すると、世帯の年金額は約398万2520円になります。
 
同じ世帯年収でも、今回のケースでは年金額に48万793円の差がある結果です。なお、共働き世帯の夫婦の年収割合によって、年金額の差は変動します。
 

片働き世帯と共働き世帯で約48万円の差になるケースがある

今回のケースだと、片働きか共働きかで同じ世帯年収でも年金額に48万793円の差がありました。国民年金は、保険料を全期間納付していれば老齢基礎年金は満額受け取れるので、差が出るとすれば老齢厚生年金になるでしょう。
 
なお、実際には40年以上同じ収入であることは少ないと考えられるため、今回の例はあくまでも参考としてください。自身の受け取る年金額は、計算する以外にもねんきん定期便やねんきんネットでも目安を確認できるので、気になる人はチェックしておくとよいでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問