年金を「月20万円」もらう父。これって多いほうですか? 私は40歳で「年収500万円」ですが、将来父より多く“年金”を受け取れるでしょうか?「平均額・将来の受給額」を解説
本記事では、年金受給額が月20万円の人の全体における位置づけや、年収が500万円の人が将来受け取れる年金額の目安、さらに年金だけで生活費がまかなえない場合の対策について解説します。
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年金を「月20万円以上」もらっている人は16%しかいない
「老後は年金で生活できる」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実際の支給額は人によって大きく異なります。
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、老齢厚生年金の受給者全体の中で、「月20万円以上」もらっている人はわずか16%程度です。つまり、「月20万円の年金」は、決して一般的な額ではなく、上位層に入る水準といえます。
また、老齢厚生年金の受給者の平均支給額は毎月約14万6000円です。
この金額を見ると、本ケースの父親の「月20万円の年金」は恵まれているケースといえるでしょう。
年収500万円の人が将来もらえる年金額は?
それでは、今40歳で年収500万円の人が、将来受け取ることができる年金はいくらになるか、見ていきましょう。
厚生労働省が提供している「公的年金シミュレーター」を使ってシミュレーションしてみましょう。60歳で退職し、年金受給は65歳から開始と仮定します。
●年齢:40歳(1985年7月1日生まれ)
●仕事:会社員
●勤続期間:22~60歳
※便宜上、上記の期間の年収が常に500万円と仮定
この条件で試算すると、65歳以降にもらえる年金額は年間181万円になります。月換算では約15万円です。つまり、このままでは現在父親がもらっている月20万円には届かない可能性が高いといえるでしょう。
将来、年金だけでは足りない場合はどうすればいい?
「父親より年金額が少なくなるなんて不安だ」「月15万円の年金では生活できない」と思う人もいるかもしれません。将来の生活を想定した際、支出が月15万円を上回る場合、将来に備えて次のような対策を検討したいところです。
計画的な貯蓄
年金だけで不足する資金を貯蓄で補うのは基本といえるかもしれません。
退職時(本ケースでは60歳)において必要な貯蓄金額は人によって異なります。定年後、年金受給開始時点(65歳)までに必要な生活費と、年金受給開始後に想定される支出と支給される年金額との差を計算し、例えば90歳まで生きると仮定して、将来どれくらいお金が必要になるのかを計算します。
足りない金額について、これから定年まで計画的に貯められるよう、毎月の貯蓄額を逆算で決めていきましょう。
家計の支出を見直す
まずは現在の家計の支出の見直しを行いましょう。現在の支出を減らすことで、老後に向けてより計画的に貯蓄ができるようになります。
老後の生活においては、固定費をいかに削減できるかが鍵を握ります。具体的には、住宅ローンを早めに完済したり、車の維持費を見直したりすることで、老後の固定費の支出を減らして、年金生活となった際でも収支をトントン、もしくは黒字にできる可能性があるでしょう。
働き続ける
健康であれば、60歳以降も働き続けることで収入を得ることができます。さらに、年金は受け取り始める時期を後にすればするほど、毎月の受給金額を増やせます。
75歳まで受給開始を繰り下げると、最大で65歳から受け取る場合と比べて84%増額されますので、働き続けることによるメリットは大きいでしょう。
必要に応じて投資も検討
資産形成を目的とした投資(NISAやiDeCoなど)は、老後の資金づくりに有効です。ただし、投資にはリスクもあるため、無理のない範囲で、長期・分散・積立投資を基本にしましょう。
まとめ
父親の年金が月20万円というのは、平均から見ても恵まれた金額です。現在40歳で生涯の平均年収が500万円の人が将来もらえる年金は月15万円程度と見込まれ、本ケースにおける父親と同等かそれ以上を受給するというのは難しい可能性が高いといえます。
とはいえ、年金だけで老後生活がまかなえなくても、ほかに取りうる対策はあります。貯蓄、支出の見直し、働き方、資産形成など、複数の手段を組み合わせて備えることで、安心できる老後の準備を行っていくことは十分可能です。
将来に不安を感じた今こそ、行動の始めどきです。早めにライフプランを見直し、未来の安心につなげましょう。
出典
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 公的年金シミュレーター
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
