友人は年金を「月16万円」受け取っていますが、私は「月6万9000円」…。「月10万円以上」の年金受給者はどれくらいいるのでしょうか?

配信日: 2025.08.15 更新日: 2025.10.21
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友人は年金を「月16万円」受け取っていますが、私は「月6万9000円」…。「月10万円以上」の年金受給者はどれくらいいるのでしょうか?
令和元年6月3日、金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」によると、一般的な会社員の夫と専業主婦の年金受給者の場合、公的年金受取額が20万9000円ですが、生活費に26万4000円ほどかかる。不足分5万5000円を30年間分必要とすると約2000万円となり、その分自助努力が必要であるというものでした。
 
これにより「扶養の範囲で」にこだわっていた方が自分の老後を見据えて、不足する年金分を少しでも少なくするよう、扶養を超えて働き始められた方もいらっしゃいます。
 
さらに、「夫が企業型に入っているから、私までiDeCoに入らなくても……」という考えの方も、今では自分の老後のためにiDeCoで資産形成をしている人もいるでしょう。
 
仮に受給年金額が10万円であれば3万5000円の不足分を補え、あとの2万円分をiDeCoなどで準備することもできるかもしれません。では、そもそも、ひと月の年金額が「10万円」を超える人ってどのくらいいるのでしょうか?
林智慮

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

ひと月の年金が10万円を超える人

図表1は、厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、令和5年度厚生年金保険(第1号)男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数です。この表から、10万円以上受給しているのは1265万1152人であり、老齢厚生年金受給者の約79%です。
 
図表1

図表1

 
また、図表2は、国民年金 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数です。国民年金の受給者数は、国民年金満額に向かって多くなっています。
 
国民年金を総数に加算すると、厚生年金の総受給者数1065万4729人と国民年金の層受給者数3345万5786人を合わせると、年金受給者数4411万515人となり、このうち10万円以上の年金を受給する人は約27%です。
 
図表2
図表2

 

女子の年金受給額が低い原因は?

10万円以上の年金受給者のうち、男子は959万3199人、女子は305万8033人と男子の3分の1程度しかありません。
 
また、平均年金額は、女子は男子より6万円ほど低く、受給者数が多い年金額では、女子は男子より8万円も低い結果となっています。老齢厚生年金は、以下の式により計算されます。


(1)平成15年3月までは、
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年までの加入月額
 
(2)平成15年4月以降は、
平均標準額報酬額(標準報酬月額と標準賞与額を加入期間で割ったもの)×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数

年金受給者となっている女性について、結婚・出産により離職することが当たり前であったこと、今ほど産休・育休を取りやすくなく、職場復帰する環境が整っていない時代であったことが理由の一部でしょう。
 
男女雇用機会均等法(後の「雇用の分野における男女の均等な 機会及び待遇の確保等に関する法律」)が昭和60年に成立し61年に施行されましたが、それでも、依然として業務の内容や賃金に男性との差がありました。
 
キャリアの中断、賃金や役務の差別などさまざまな要因が重なり、厚生年金の加入期間も短くなってしまうことから、女子の年金受給額が男子より低くなっています。
 

まとめ

令和5年度末時点の老齢年金を10万円以上の受給者は1265万人(男子959万人、女子306万人)で、受給者全体の約27%です。「意外と多いな」「これだけしかいないの?」など、人により反応はさまざまでしょう。
 
定年後の生活に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。まずは、ねんきん定期便などでご自身は年金をいくらもらえるのかを確認し、自分のライフスタイルと照らし合わせて、老後にいくらくらい不足するのか、どのように準備しておくのか、検討しておくとよいでしょう。
 

出典

金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 は行 報酬比例部分
厚生労働省 平成27年版働く女性の実情 III 男女雇用機会均等法成立 30 年を迎えて
 
執筆者 : 林智慮
CFP(R)認定者

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