友人から「年金の支給漏れがあった」と聞きました。会社を退職して夫の扶養に入ったとき、手続きをしていなかったそうです…ほかにも起こりやすいケースはあるのでしょうか?
この記事では、支給漏れが発生しやすいケースとその対策について分かりやすく解説します。
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目次
第3号被保険者手続き漏れとは?支給漏れが起こる主な理由
会社を退職して配偶者の扶養に入る際、多くの人が「国民年金第3号被保険者」の手続きに該当します。第3号被保険者とは、厚生年金に加入している配偶者に扶養されている20歳以上60歳未満の人を指し、自分で保険料を払わなくても年金加入期間としてカウントされる制度です。
ところが、この手続きを忘れると、年金記録に空白期間が生じて支給額が減ったり、最悪の場合一部年金が受給できなくなったりする支給漏れが発生します。
退職・扶養・転職・離婚…支給漏れが発生しやすい実例
年金の支給漏れが発生しやすいのは、主にライフスタイルの大きな変化があったときです。たとえば、会社を辞めてから夫の扶養に入ったとき、第3号被保険者の届け出を出し忘れると、その期間の年金記録が消えてしまいます。
また、夫が転職して厚生年金から共済組合など他の制度に変わった際も、新たな手続きを怠ると支給漏れにつながります。
名字の変更や離婚・再婚、さらには夫の死亡後の年金請求忘れなど、さまざまな場面で手続きミスにより支給漏れが生じやすいことが分かっています。会社の総務や年金事務所へ必ず確認し、書類の提出を怠らないことが重要でしょう。
2024年(令和5年度:2023年4月~2024年3月)に発生した年金の支給漏れ(事務処理誤り)件数は、日本年金機構の公式公表資料によれば「1175件」となっています。この内訳として「年金給付関係」608件、「国民年金適用・徴収関係」427件、「厚生年金適用・徴収関係」140件となっています。影響額のあるものは全体の45%(534件)でした。
こうした数字からも、誰にでも起こりうる身近な問題であることが分かります。日ごろから自分の年金記録や必要な手続きを確認し、漏れを防ぐ意識を持つことが大切でしょう。
支給漏れを防ぐには?確認すべきポイントと最近の制度変更
年金の支給漏れを防ぐには、まず自分の記録を定期的にチェックしましょう。日本年金機構から毎年届く「ねんきん定期便」や、マイナポータル、年金事務所での記録照会が活用できます。2024年からは健康保険証の廃止に伴い、被扶養者や第3号被保険者に関する届け出が電子化され、手続き方法が一部変更されています。
特に、大手企業や公務員の場合は提出ルートが異なる場合もあり、制度改正にも気を付けて情報収集を続けると安心です。もし支給漏れや記録誤りに気付いた場合は、早めに年金事務所や相談窓口で訂正手続きを行うとよいでしょう。
支給漏れが判明した場合、時効の5年以内であればさかのぼって請求できますが、早めの対応が大切です。
年金支給漏れを防ぐために今すぐできること
年金の支給漏れは、大きな損失につながることがありますが、普段から年金記録を意識してチェックし、ライフイベントごとに必ず手続きを行えば、多くの場合未然に防げるでしょう。
具体的には、結婚・退職・扶養・離婚・再婚・配偶者の死亡など、生活の節目ごとに公的な相談窓口や会社の担当部門に確認することをおすすめします。年金受給額をしっかり受け取り、将来に備えるためにも、今から意識して取り組むとよいでしょう。
出典
日本年金機構 事務処理誤り等(令和5年4月分~令和6年3月分)の 年次公表について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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