以前3年ほど国民年金の「免除申請」をしていました。追納しないと将来の受取額はどのくらい変わるのでしょうか?
本記事では、免除期間を追納しなかった場合に年金額がどのくらい変わるのか、そして追納を検討する際のポイントを分かりやすく解説します。
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国民年金の免除期間を追納しないと、将来の年金額はどう変わる?
国民年金には、所得が少ない人や失業中の人を対象に「保険料免除制度」があり、全額免除・一部免除・納付猶予といった種類があります。
しかし、免除された期間は「年金額を計算するうえで満額としてはカウントされない」ため、そのまま放置すると将来受け取れる年金額が減ってしまいます。追納をするかしないかは、老後の生活に直結する大きな選択です。
免除期間が年金額に与える影響
国民年金(老齢基礎年金)の満額は、2025年度で年間83万1696円(月額約6万9308円)です。これは40年間(480ヶ月)すべての保険料を納めた場合の額です。免除期間がある場合、その月数分の計算基準が減ります。
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」によると、免除・納付猶予された期間がある場合の年金額は以下の通りです。
・全額免除:保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1
・4分の3免除:保険料を全額納付した場合の年金額の8分の5
・半額免除:保険料を全額納付した場合の年金額の8分の6
・4分の1免除:帆円了を全額納付した場合の年金額の8分の7
なお、平成21年3月分までの納付分に関しては割合が変わるため、該当する方は確認が必要です。
数字だけ見ると小さな差に思えるかもしれませんが、免除期間が数年にわたると減額は数十万円単位になることもあるでしょう。
日本年金機構は昭和31年4月2日以後生まれの方が1年で受け取れる年金額の目安として、老齢基礎年金を40年納付した場合は「83万1700円」、40年全額免除となった場合(国庫負担2分の1で算出した場合)「41万5850円」と記しており、大きな差であることが見て取れます。
追納すれば満額換算にできる
免除期間を追納すると、その期間が「全額納付」としてカウントされます。これにより、将来の年金額を減らさずに済むでしょう。ただし、「追納が承認された月の前10年以内の免除等期間について追納が可能」とされており、10年以上前の分についての追納はできないため注意が必要です。
また、免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、当時の保険料額に加算額が上乗せされるため注意が必要です。
追納するかどうかの判断ポイント
追納は「必ずした方がいい」というわけではありません。現役時代の収入や老後の生活設計によって、追納の必要性は変わるでしょう。今の生活がギリギリで、追納が生活を圧迫する場合は無理をしない方がいいでしょう。
一方で、老後の年金収入が少なくなると生活費を年金だけで賄うのが難しくなり、預貯金の取り崩しや生活保護などの可能性も出てきます。追納は将来の安定した収入を確保するための先行投資と考えることもできます。
また、追納分の保険料は社会保険料控除の対象になるため、所得税や住民税の自己負担が減るでしょう。これは追納をする際の見逃せないメリットといえます。
まとめ
国民年金の免除期間は、放置すると将来の受給額が確実に減ります。追納すれば満額に近づけられますが、期間がたつほど加算額が増えるため、追納をするなら早めが有利でしょう。
追納をするかどうかは、今の家計状況と老後の生活計画を踏まえて判断することが大切です。現役時代の負担と、老後の安定収入のバランスを考えながら、できる限り早いうちに方向性を決めましょう。
出典
日本年金機構 国民年員保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
