年収300万の私と700万円の夫。将来もらえる「年金額」は夫婦でいくらくらいになるでしょうか?
今回は、「年収300万円の妻と年収700万円の夫」というケースを例に、それぞれ会社員として40年間働いた場合を想定して、将来受け取れる年金額の目安を解説します。
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年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て
日本の公的年金制度は「2階建て構造」と呼ばれます。
1階部分は全国民が加入する「国民年金(老齢基礎年金)」で、令和7年度の満額は年間83万1696円(月6万9308円)です。これは40年間すべての保険料を納めた場合の額になります。
2階部分は会社員や公務員が加入する「厚生年金(老齢厚生年金)」で、収入に応じて金額が変わります。年収が高い人ほど保険料を多く納めるため、将来もらえる厚生年金も多くなります。
モデルケースでの試算
ここでは、妻が年収300万円、夫が年収700万円で、それぞれ40年間厚生年金に加入してきたケースを考えます。厚生年金の計算式は複雑ですが、おおまかな目安は「平均標準報酬額×0.005481×加入月数(480ヶ月)+国民年金部分」という形で求められます(平成15年4月以降の加入期間)。
この計算式を使用すると、
・妻:年収300万円(月額25万円)
……26万円(平均標準報酬月額/等級20)×0.005481×480ヶ月+83万1696円
=約68万4028円(厚生年金)+83万1696円(国民年金)
=約151万5724円
・夫:年収700万円(月額約58万3000円)
……59万円(平均標準報酬月額/等級33)×0.005481×480ヶ月+83万1696円
=約155万2219円(厚生年金)+83万1696円(国民年金)
=約238万3915円
注意すべき前提条件
ただし、ここであげた金額はあくまで一定の条件を満たした場合の試算です。実際の受給額は、働いた年数や収入の変動、育児や介護による休職、非正規雇用期間の有無などで変わります。たとえば、妻が一時的にパート勤務となって厚生年金から外れると、その期間は国民年金だけの加入となり、厚生年金部分が減るでしょう。
また、将来的に年金制度が改正されれば、支給開始年齢や金額が変わる可能性もあります。
老後の生活費との比較
総務省が公表した「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な生活費(消費支出)は月およそ25万6521円です。ただし、これは持ち家前提で住宅ローンがない場合の数字です。
賃貸暮らしやローン残債がある場合は、生活費はさらに増えるでしょう。今回のモデルケースでの試算額は月30万円ほどですので、平均的な生活費は十分にカバーできそうですが、医療費や介護費用、趣味や旅行などを考えると余裕は大きくないでしょう。
受給額を増やす方法
将来の年金額を増やす方法としては、できるだけ長く厚生年金に加入することが一番です。定年後も再雇用やパート勤務などで厚生年金に加入し続ければ、その分受給額が上乗せされます。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどの私的年金制度を併用すれば、公的年金だけに頼らない老後資金づくりができるかもしれません。
まとめ
年収300万円の妻と年収700万円の夫が40年間働いた場合、将来の年金額は夫婦合わせて年間390万円、月換算すると32万円程度になる見込みです。ただし、これはあくまで一定条件を満たした場合の目安であり、実際には働き方や給与の変動、ライフイベントによって変動します。
老後に安定した生活を送るためには、年金の仕組みを理解しつつ、早めに資産形成や働き方の計画を立てることが大切です。今から少しずつでも備えておくことで、老後の不安は確実に減らせるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
