父は厚生年金を毎月「25万円」受給しているそうです。金額としては多い方だと思いますが、「同じくらい受け取っている人」はどれくらいいるのでしょうか?
この記事では、厚生年金の平均受給額や、25万円以上を受け取っている人の割合、そして将来の年金額を増やすための具体的な方法について、データを基に解説します。
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厚生年金の平均受給額はどれくらい?
厚生年金の平均受給額は、社会状況の変化や加入時期、働き方によって変動します。
厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の平均月額は約14万7000円です。この金額には、加入期間が短い方なども含まれています。
一方で、標準的な会社員(フルタイムで40年以上勤務し、平均的な報酬を得ていた場合)のモデルケースでは、夫婦2人分の老齢基礎年金と厚生年金を合わせると、月額23万円程度が1つの目安とされています。
個人の厚生年金だけで月25万円を超えるのは、現役時代に高い報酬を得ていた方や、70歳近くまで長く厚生年金に加入していた方など、特定のケースに限られることが多いようです。
なお、年金額は物価や賃金の変動にあわせて毎年改定されており、例えば2025年度(令和7年度)には+1.9%の改定が行われます。
「25万円」は高水準。該当者は全体の約1%台
厚生年金を毎月25万円以上受給している人は、全体の中でもごく少数です。前述の調査によると、2024年3月末時点で厚生年金保険(第1号)の老齢年金を受け取っている人は約1605万人います。このうち、月額「25万円台(25万~26万円未満)」の人は約12万人で、全体の約0.75%に過ぎません。
月額「25万円以上」の受給者をすべて合計しても約27万人となり、割合にすると全体の1.7%弱。100人に1人か2人程度しかいない、希少なケースであることがわかります。
月25万円以上を受給できる背景には、長期間にわたり高い報酬を得ていたことや、厚生年金への加入期間が40年を超えていることなどが関係します。例えば、現役時代に大企業などで管理職や専門職として長く勤め上げた方や、定年後も70歳近くまで働き続けた方などが考えられます。
ここで挙げているのは、あくまで「老齢厚生年金」部分の金額です。実際の受給額には老齢基礎年金(国民年金)が上乗せされますが、「厚生年金だけで月25万円」というのは、極めて高い水準といえるでしょう。
年金受給額を増やすためにできること
将来の年金額を増やすためには、主に次のような方法が考えられます。
1つ目は「長く働く」ことです。65歳以降も厚生年金に加入して働くことで加入期間が延び、年金額に反映されます。特に70歳まで加入を続けると、年金額を大きく増やすことができます。
2つ目は「標準報酬月額(給与水準)を上げること」です。年金額は現役時代の収入に連動するため、昇進やキャリアアップを通じて収入を増やすことも有効な手段です。
このほか、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)といった私的年金・資産形成制度を活用して、老後の資金に厚みを持たせることも大切です。ご自身の受給見込額が気になる場合は、一度「ねんきんネット」や年金事務所でシミュレーションしてみることをお勧めします。
厚生年金25万円受給は少数派
厚生年金を毎月25万円受け取っている方は、全国的に見ても少数派であるといえます。平均受給額が約14万7000円であることからも、高額な年金を受け取るには、長期間にわたる高い水準の収入が必要となるためです。
これから自分も年金額を増やしていきたいと考えるなら、より長く働くことや収入の向上を目指すこと、そして利用できる制度を積極的に活用することが重要になります。自分に合った方法を早期から計画的に実践していくことが、安心できる老後につながるでしょう。
出典
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
