「会社員の夫」の扶養に入っています。将来「夫が先に亡くなった」場合、「年金」はどう変わりますか?

配信日: 2025.08.22 更新日: 2025.10.21
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「会社員の夫」の扶養に入っています。将来「夫が先に亡くなった」場合、「年金」はどう変わりますか?
会社員である夫の扶養に入っている場合、「もし夫が先に亡くなったら、自分の年金はどうなるのだろう」と不安に思う方もいるかもしれません。受け取れる遺族年金は、お子さまの有無やご自身の年齢によって内容が大きく変わります。
 
この記事では、遺族年金の基本的な仕組みから金額の目安、65歳以降の調整まで、順を追って解説します。
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夫が死亡したときに受け取れる年金の基本

会社員など厚生年金に加入していた夫が亡くなった場合、遺された家族は、条件を満たせば「遺族厚生年金」と「遺族基礎年金」を受け取れる可能性があります。
 
遺族厚生年金は、亡くなった夫の現役時代の給与など(報酬比例部分)を基に計算され、その4分の3が基本額となります。受け取れる優先順位は、「子のある配偶者」、「子」、「子のない配偶者」、の順です。配偶者が受給している間は、子の遺族厚生年金は支給停止になります。(子のない30歳未満の妻は、原則5年間の有期給付です。)
 
遺族基礎年金は、国民年金の制度から支給されるもので、対象は「18歳未満の子がいる配偶者」または「子」に限られます。
 
これらの年金を受け取るには、夫が保険料の納付要件を満たしていることや、妻が夫によって生計を維持されていたことなどが条件となります。扶養に入っている場合は生計維持の条件を満たしやすいですが、前年の収入が850万円未満であることなども含め、総合的に判断されます。
 

「子がいる妻」「子がいない妻」でどう変わる? 金額の目安は

受け取れる年金額は、子どもの有無で大きく異なります。
 
【子がいる場合】
遺族基礎年金と遺族厚生年金を両方受け取れる可能性があります。2025年度の遺族基礎年金額は、基本額83万1700円に、子の人数に応じた加算がつきます。(第1子・第2子は各23万9300円、第3子以降は各7万9800円) 例えば、子が1人の場合、遺族基礎年金だけで「83万1700円+23万9300円=年額107万1000円」が目安です。
 
【子がいない場合】
遺族基礎年金は受け取れませんが、遺族厚生年金に「中高齢寡婦加算」が上乗せされる場合があります。これは、夫が亡くなった時点で妻が40歳以上65歳未満の場合に、年額62万3800円が加算される制度です。
 
なお、子がいた場合でも、その子が18歳になって遺族基礎年金の支給が終わった後、条件を満たせばこの加算に切り替わることがあります。
 
加えて、子のない配偶者への支給については、2025年に成立した制度改正(2028年施行予定)で内容が見直されています。これにより、期間限定で支給される年金額(有期給付)が増額されたり、支給終了後も障害がある、または収入が低いなどの条件を満たす方には継続的な給付が行われたりするようになります。
 

妻が65歳以降になると何が変わる?自分の老齢年金との調整

妻が65歳以上で自分の老齢厚生年金の受給権がある場合は、遺族厚生年金の額を次の2通りで比べ、高い方が選ばれます。①夫の報酬比例部分の4分の3、②夫の報酬比例部分の2分の1と自分の老齢厚生年金の2分の1の合計です。
 
自分の老齢基礎年金は満額で受けられますが、遺族厚生年金と自分の老齢厚生年金には支給停止の調整が入るため、結果として「合計いくらになるか」が重要です。繰下げの可否なども含めて、65歳前後は個別に試算して確認しておくと安心でしょう。
 

夫が先に亡くなった場合、年金はどう変わる?

会社員の夫が先に亡くなった場合、遺された妻は「遺族厚生年金」の対象となります。さらに、子どもがいれば「遺族基礎年金」も加わり、子どもがいなくても40歳から64歳までは「中高齢寡婦加算」で手厚くなる場合があります。
 
そして65歳以降は、自分の老齢年金を受け取りつつ、調整された遺族厚生年金を受け取る形になります。将来どれくらい受け取れるか、ねんきんネットや年金事務所を活用して、一度確認しておくことをお勧めします。
 

出典

日本年金機構 遺族厚生年金
日本年金機構 遺族基礎年金
日本年金機構 生計維持
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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