定年退職した父。今後もらえる年金額は「月20万円」だそうです。これは平均より多いですか?

配信日: 2025.08.25 更新日: 2025.10.21
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定年退職した父。今後もらえる年金額は「月20万円」だそうです。これは平均より多いですか?
定年退職をした親がもらえる年金額について多いのか少ないのか、平均と比べてどのくらいなのかが気になる方もいるいでしょう。日本の公的年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」で成り立っており、受給額は加入期間や収入によって人それぞれ異なります。
 
本記事では、最新の統計データをもとに「月20万円」が平均より多いのかどうかを整理し、あわせて高めの年金を受け取れる背景について解説します。
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公的年金の平均受給額とは?

日本の公的年金制度は、大きく分けて2階建て構造です。1階部分は全国民が加入する「国民年金」、2階部分は会社員や公務員などが加入する「厚生年金」です。まずは、厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、それぞれの平均額を見てみましょう。
 
■国民年金(老齢基礎年金)
平均受給額は、月額 約5万7700円です。令和7年度の老齢基礎年金の満額は月額6万9308円ですが、保険料を全期間納めていない人も多いため、実際の平均は6万円弱にとどまっていると考えられます。
 
■厚生年金(老齢厚生年金+基礎年金を含む合計)
平均受給額は、 月額14万6429円です。男女差が大きく、男性は16万9484円、女性は11万1479円となっています(いずれも65歳以上)。これは、現役時代の収入や加入期間の差が大きく反映された結果です。
 
つまり、公的年金の平均的な水準は基礎年金だけなら約6万円、厚生年金込みなら約14万6000円といえるでしょう。
 

月20万円は平均より多いのか?

この統計と比べてみると、お父さまの月20万円は以下のように位置づけられます。
 

・国民年金のみの人と比べると、3倍以上の金額であり、圧倒的に高い水準
・厚生年金を含めた全体の平均(約14万6000円)と比べても、約5万4000円多い
・男性の厚生年金平均(約17万円)に比べても、さらに約3万円上回る

 
したがって、月20万円の年金受給額は、国民年金のみの人に比べると大きな差があり、厚生年金を受け取る人のなかでも平均より多い金額であるといえます。全体的に見れば、かなり恵まれた水準に入ると考えてよいでしょう。
 

なぜ月20万円になるのか? その背景

では、なぜ平均より高い年金を受け取れるのでしょうか。その理由はいくつか考えられますが、主なものを以下で見てみましょう。
 
1. 長期間の厚生年金加入
現役時代に会社員として長く働き、保険料を納めた期間が長ければ、その分だけ受給額は増えます。
 
2. 現役時代の収入が比較的高かった
厚生年金の額は、報酬額(標準報酬月額や賞与)に比例して計算されます。収入水準が高ければ、それだけ年金額も高くなります。
 
3. 企業年金や退職年金が加算されている
公的年金に加えて、企業が用意している企業年金や確定拠出年金などの上乗せ制度を受け取っている場合、実質的に受給額が増えます。
 
4. 繰下げ受給を選んだ可能性
年金は65歳から受給開始するのが基本ですが、繰下げて70歳から受け取り始めれば、最大42%増額されます。その場合、月20万円という金額に到達しやすくなります。
 

将来世代と比較したときの見え方

注意点として、「今の60代前後」と「これから定年を迎える世代」では事情が異なります。近年は非正規雇用の増加や年金制度の改正もあり、将来世代の年金額は下がる可能性が指摘されています。
 
実際、厚生労働省のモデル試算は「夫が40年間サラリーマン、妻が専業主婦」というケースですが、令和7年度の厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月額23万2784円となっています。つまり、単身で20万円を受け取れるのは、比較的高水準に位置していることが分かります。
 

月20万円の年金受給額は平均より高く、安心感のある水準

公的統計と比較すると、お父さまの「月20万円」という年金受給額は、国民年金のみの人と比べて圧倒的に高く、厚生年金を含む平均額と比べても上回っています。現役時代の働き方や収入、企業年金の有無、繰下げ受給の選択など、さまざまな要素が重なってこの水準に到達していると考えられます。
 
もちろん、住んでいる地域やライフスタイルによって生活費が異なるため、一概に余裕とはいえませんが、公的データ上は十分に平均を超える金額です。老後の生活を安心して送るための基盤としては、心強い水準だといえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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