収入が下がり国民年金の「免除」か「納付猶予」で悩んでいます。将来の年金はどのくらい減るのでしょうか?

配信日: 2025.08.24 更新日: 2025.10.21
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収入が下がり国民年金の「免除」か「納付猶予」で悩んでいます。将来の年金はどのくらい減るのでしょうか?
経済的な理由により国民年金保険料を支払えなくなったときは、免除や納付猶予などの制度を利用できる場合があります。
 
しかし、こうした制度を利用すると将来受け取れる年金額がどのくらい減ってしまうことになるのか、不安に思う人もいるでしょう。
 
本記事では、国民年金保険料の「免除」と「納付猶予」について、年金額にどのくらい差が出るのかをご紹介します。
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国民年金保険料の「免除」と「納付猶予」とは?

老齢基礎年金を受給するためには、国民年金保険料の受給資格期間が10年以上必要です。未納状態が続くことで年金をもらえなくなるおそれがあるため「免除制度」または「納付猶予制度」の利用を検討した方がよいでしょう。
 
保険料の支払い免除、または納付猶予を受けている期間も受給資格期間に含まれるため、これらの制度を利用すれば年金の受給資格を失うことはありません。
 
まず、免除制度を利用する場合、免除される額によって将来受け取れる年金額が変わります。全額納付した場合の年金額と比較した年金の受取額は、以下の通りです。


・全額免除:保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1
・4分の3免除:保険料を全額納付した場合の年金額の8分の5
・半額免除:保険料を全額納付した場合の年金額の8分の6
・4分の1免除:保険料を全額納付した場合の年金額の8分の7

一方、納付猶予制度を利用した場合は年金額に反映されません。
 
免除制度は「本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下か失業している場合」、納付猶予制度は「20歳以上50歳未満の本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合」で、制度を利用できるかどうかが決まります。どちらの制度を利用すべきか迷っている場合は、まず確認してみるとよいでしょう。
 

国民年金保険料の「免除」と「納付猶予」を利用した場合に将来受け取れる年金額は?

今回の事例では「免除と納付猶予を利用した場合に将来の年金額にどのくらい違いがあるか?」ということなので、確認してみましょう。
 
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」によると、例えば、保険料を納められない期間が3年間あった場合の老齢基礎年金額は、表1の通りです。日本年金機構では「40年納付した場合に1年で受け取れる年金額の目安」を83万1700円としているため、これを基に老齢基礎年金額を計算しています。
 
表1

3年間の納付状況 将来受け取れる老齢基礎年金額 満額納付した場合との差
未納 76万9323円 -6万2377円
全額免除 80万511円 -3万1189円
4分の3免除 80万8309円 -2万3391円
半額免除 81万6106円 -1万5594円
4分の1免除 82万3903円 -7797円

出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」を基に筆者作成
 
納付猶予を受けた場合は、年金額には反映されません。例えば、3年間にわたって全額免除を受けた場合と納付猶予を受けた場合では、老齢基礎年金は全額免除の方が3万円以上多くなる計算です。
 

「免除」や「納付猶予」を利用しても将来満額の年金を受け取るには?

免除や納付猶予を利用しても将来もらえる年金額が減らないようにするためには、追納を行う方法があります。
 
追納とは保険料を「後から納める」ことで、制度を利用して10年以内であれば、経済的に余裕ができたタイミングで追納が可能です。
 
日本年金機構によると、全額免除の期間であれば年間で約1万円、納付猶予の期間であれば年間で約2万円、老後の年金額が増えます。追納は事前の申請が必要となるため、必要書類や申請方法を確認しておくとよいでしょう。
 

3年間、全額免除と納付猶予を受けた場合を比較すると、全額免除の方が将来もらえる年金額が3万円ほど多くなる

経済的な事情により国民年金保険料を支払えなくなったときは、保険料の全額または一部を免除してもらったり、納付を猶予してもらう制度を利用できる場合があります。
 
将来受け取れる年金額の差については、例えば、3年間にわたって全額免除と納付猶予を受けた場合を比較すると、全額免除の方が3万円ほど多くなる計算です。
 
ただし、どちらの制度も追納により年金額を満額に近づけることは可能です。その点も踏まえて、どちらの制度を利用すべきか検討してみるとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の免除・猶予・追納国民年金保険料の追納制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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