学生時代「2年間」国民年金の支払いを「猶予」してもらいました。社会人になりましたが、貯金が少なく「追納」すべきか悩んでいます…。このままだと将来いくら少なくなりますか?
この記事では、学生時代「2年間」国民年金を支払わず、現在も貯金が少ない場合に「追納」をどう判断すべきか、そして追納しなかった場合に将来受け取れる年金額がいくら減るのかを分かりやすく解説します。
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学生納付特例は「資格に算入・年金額は増えない」仕組み
学生納付特例の承認を受けた期間は、将来、老齢基礎年金を受け取るために必要な加入期間としてカウントされます。
ただし、この期間の保険料を後から支払う「追納」をしない限り、将来受け取る年金の金額には反映されません。
一方で、万が一の病気や事故に備える障害年金や遺族年金については、この特例期間も「保険料を納めた期間」として扱われます。そのため、将来の年金額は増えなくても、いざという時の受給資格の面で不利になることはありません。
追納しないと、将来の年金はいくら減る?
学生時代に国民年金の納付を猶予された2年間(24ヶ月)分を追納しない場合、将来受け取る年金が年間で約4.2万円少なくなります。仮に65歳から30年間受け取ると、その差は総額で約125万円にもなります。
以下に、2025年度の年金額を基にした具体的な計算を示します。
老齢基礎年金は、40年(480ヶ月)すべての保険料を払うと満額が支給されます。2年(24ヶ月)追納しないと、計算の基礎となる期間は38年(456ヶ月)となります。
●満額(40年分)の年金額: 83万1700円
●2年分を追納しない場合: 83万1700円 × (456ヶ月 ÷ 480ヶ月) = 79万115円
その結果、年間の差額は4万1585円となり、30年間では124万7550円の差が生まれる計算です。
このように、追納しない期間の影響は将来に大きく響きます。追納には10年間の期限があるため、この試算を参考に、家計の状況に合わせて計画的に検討することが大切です。
追納の期限・加算額・支払い順序の基本
追納できるのは、承認を受けた月の前10年以内の期間です。承認年度の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に経過年数に応じた加算額が上乗せされます。追納は古い月から順に行う決まりです。
追納額は猶予を受けた当時の保険料で計算します。例えば、猶予期間が2023年度と2024年度の2年間であれば、月額は2023年度1万6520円、2024年度1万6980円です。
各12ヶ月の合計は19万8240円と20万3760円で、合計は40万2000円となります。これは加算額を含まない概算であり、実際には支払う時期により加算額が上乗せされます。金額は年金事務所で見積もりを確認すると安心でしょう。
2年間の追納をしないと年額で4万1585円少なくなる
学生納付特例の2年間を追納しない場合、2025年度の満額を基準に年額で4万1585円少なくなります。30年間で見ると124万7550円の差となります。
一方で、追納は10年以内で可能で、加算額は3年度目以降に生じます。家計の余力や他の支出との優先度を踏まえ、ねんきんネットで記録と見込み額を確認しつつ、計画的に追納を検討するとよいでしょう。
出典
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 免除されていた保険料は、後で納めることができますか。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
