夫の扶養に入っていた60歳の妻ですが、「第3号の届け出漏れ」で“未加入期間”が「2年」ありました。今から追納すれば、将来の年金は増えますか?

配信日: 2025.08.28 更新日: 2025.10.21
この記事は約 3 分で読めます。
夫の扶養に入っていた60歳の妻ですが、「第3号の届け出漏れ」で“未加入期間”が「2年」ありました。今から追納すれば、将来の年金は増えますか?
将来の年金額を少しでも増やすために、過去の加入状況を見直す人が増えています。特に、配偶者の扶養に入り「第3号被保険者」として過ごしてきた方にとって、思わぬ“届け出漏れ”に後から気づくケースも少なくありません。
 
そんなとき気になるのが、「今からでも追納できるのか?」「将来の年金にどれだけ影響があるのか?」という点です。
 
本記事では、第3号被保険者の届け出漏れの対処法と、第1号被保険者の追納制度という似て非なる仕組みについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

第3号被保険者の「届け出漏れ」があるとどうなる?

「第3号被保険者」とは、会社員や公務員など第2号被保険者に扶養されている配偶者(主に専業主婦・主夫など)で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の人が対象です。保険料は自分で支払う必要がなく、配偶者の保険料に含まれる形で年金加入扱いになります。
 
ただし、この制度は「届け出」がされていることが前提です。仮に夫の勤務先での手続き漏れや、本人が届け出をしていなかった場合、その期間は「空白期間」となり、保険料納付期間としてカウントされません。その結果、将来もらえる年金が減ってしまいます。
 

第3号は「2年以内ならさかのぼって届け出」できる

第3号被保険者としての届け出を忘れていた場合でも、すぐに諦める必要はありません。原則として2年以内であれば、さかのぼって届け出を行い、その期間を「保険料納付済期間」として認めてもらうことが可能です。なお、第3号被保険者制度では本人が保険料を負担する必要がないため、追加の納付や追納の手続きは不要です。
 
手続きの流れは以下のとおりです。

1.年金事務所や配偶者の勤務先に連絡し、「国民年金第3号被保険者関係届」を提出
2.審査で認められれば、最大で過去2年間が年金上の「保険料納付済期間」として扱いになる

一方で、2年以上前の期間については原則としてさかのぼれず、その期間は「未加入期間」とされ、将来の年金額に反映されません。ただし、配偶者の勤務先による届け出漏れなど、やむを得ない事情が認められた場合には、「第3号被保険者の特例届出」を提出することで、2年以上前の期間も保険料納付済期間に認められることがあります。
 

第1号被保険者は「追納制度」で将来の年金を増やせる

ここで混同しやすいのが、第1号被保険者の追納制度です。第1号被保険者(自営業者、学生、無職など)は、保険料を本人が直接納める立場にあります。過去に「免除」や「猶予」を受けた期間がある場合、後から保険料を納め直す=追納することで、将来の年金額を増やせます。
 
目安としては、1年分の追納によって年金が年間およそ2万円の増額になります。2年分であれば、年間で約4万円の年金アップが期待できるでしょう。年金は一生受け取るものなので、10年受け取れば約40万円、20年で約80万円の差が出る計算になります。
 
さらに、追納した保険料は「社会保険料控除」として所得税や住民税の軽減にもつながります。たとえば40万円の追納をした場合、所得税と住民税をあわせて10万円以上節税できるケースもあります。
 
老後資金に不安がある人にとって、このような年金の積み増しや節税は非常に大きなメリットとなるでしょう。
 

まとめ

第3号被保険者の場合は、原則として2年以内であれば届け出をすることで未加入期間を「保険料納付済期間」として認めてもらえます。このとき本人が追納する必要はなく、手続きによって救済される仕組みです。
 
一方で、第1号被保険者の場合は、過去に免除や猶予を受けた保険料を「追納」することで、将来の年金額を増やせるだけでなく、節税効果も得られます。
 
いずれのケースでも共通するのは、「早めの行動が大切」ということです。届け出や追納の期限を過ぎてしまうと、取り戻せるはずの年金額を失う可能性があります。まずは最寄りの年金事務所や勤務先に相談し、今の自分に必要な手続きを確認することが、将来の年金を守る第一歩になるでしょう。
 

出典

日本年金機構 年金用語集 た行 第3号被保険者
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問