独身だった兄が“年金受給前”に亡くなりました。親族は私以外いなのですが、受け取るはずだった年金はどうなるのでしょうか?
結論から言うと、兄弟は遺族年金の対象ではありません。しかし「死亡一時金」や「未支給年金」といった制度を利用できる可能性があります。本記事では、具体的にどんな制度があるのか、誰が請求できるのか、どんな書類を準備するのかを整理して解説します。
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兄弟は「遺族年金」の対象外です
まず知っておきたいのは、遺族年金は受け取れないという点です。遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、亡くなった方が国民年金や厚生年金に加入していた場合に遺族へ支給されます。
ただし、受給できる人は法律で明確に定められており、以下の順番で優先されます。
1.配偶者
2.子ども
3.父母
4.孫
5.祖父母
この中に含まれない「兄弟姉妹」は、どんな事情であっても遺族年金の受給対象外です。「兄弟しかいない場合はどうなるのか?」という疑問が出ますが、この場合は遺族年金ではなく、別の制度を検討することになります。
受け取れる可能性があるのは「死亡一時金」と「未支給年金」
遺族年金は受け取れなくても、他に受け取れる制度が存在します。
・死亡一時金
国民年金に3年以上加入していた人が、まだ一度も年金を受け取らないまま亡くなった場合に支給されるのが「死亡一時金」です。
例えば、兄が若くして亡くなった場合でも、長年国民年金をきちんと納めていれば、この制度の対象になる可能性があります。請求できる人の順番は以下の通りです。
1.配偶者
2.子ども
3.父母
4.孫
5.祖父母
6.兄弟姉妹
つまり、他に請求できる人がいなければ、兄弟が最後に受け取れる立場になります。ただし、死亡一時金には「2年以内に請求しなければならない」という期限があります。放置すると受け取る権利を失ってしまうため、早めに確認することが大切です。
・未支給年金
もう一つ知っておきたいのが「未支給年金」です。亡くなった月の年金は、死亡日までの分を「未支給年金」として遺族が受け取ることができます。こちらも請求できるのは、同居していた親族で、兄弟姉妹も含まれます。
例えば、兄と一緒に暮らしていて生活費を分け合っていた場合、その証明ができれば請求可能です。逆に、別居で生計がまったく別だった場合には認められないことがあります。
手続きの流れと必要書類
実際に請求するには、次のような流れになります。
1.年金事務所へ「死亡届」を提出
→ 亡くなったことを知らせないと、年金が振り込まれ続けてしまい、後から返還を求められることになります。
2.「死亡一時金」や「未支給年金」の請求書を提出
→ いずれも年金事務所で用紙を入手できます。
3.必要書類をそろえる
・被保険者の基礎年金番号がわかるもの(年金手帳など)
・戸籍謄本や住民票(続柄や同居が確認できるもの)
・請求者の本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)
・銀行口座の通帳やキャッシュカードの写し
これらを提出し、日本年金機構が審査して認められれば、指定口座に振り込まれます。
兄弟でも受け取れる制度はあるので早めに確認を
兄弟は遺族年金の対象にはなりません。しかし、死亡一時金や未支給年金は、他に対象者がいなければ兄弟でも請求できる可能性があります。特に死亡一時金には「2年以内」という期限があるため、後回しにすると受け取れなくなります。
もし手続きが不安な場合は、迷わず最寄りの年金事務所や「街角の年金相談センター」で相談してください。専門職員がケースに合わせて案内してくれるので安心です。
「どうせ兄弟だから無理だろう」と諦めず、制度を正しく理解して行動することで、本来受け取れるはずのお金を逃さないようにしましょう。
出典
日本年金機構 遺族年金ガイド
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
