「遺族厚生年金制度が見直される」というニュースの真相は?現在40代で「遺族年金」を受け取っている女性は、支給が打ち切られる…?

配信日: 2025.09.01 更新日: 2025.10.21
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「遺族厚生年金制度が見直される」というニュースの真相は?現在40代で「遺族年金」を受け取っている女性は、支給が打ち切られる…?
遺族厚生年金は、大切な家族を亡くした遺族の生活を支える重要な制度です。しかし、この制度が大きく見直されようとしています。報道を目にして「5年間で打ち切り?」「私にも影響があるの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
 
この記事では、制度見直しの背景や具体的な改正内容、影響を受ける人の条件を紹介するとともに、将来的な生活設計に向けた備えについて解説します。
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遺族厚生年金制度が見直される理由とは?

遺族厚生年金は、厚生年金に加入していたなどの条件を満たした方が亡くなった場合に、残された一定の遺族が年金を受け取れる制度です。配偶者や子どものいる家庭では、生活の支えとして重要な役割を果たしています。
 
しかし、令和7年6月13日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が、衆議院で修正のうえ、成立しました。制度の見直しに対して注目が集まっています。
 
その背景には、男女共同参画や社会保障制度の持続可能性に対する課題があります。例えば、遺族年金をはじめ日本の年金制度はこれまで「夫が働き、妻が専業主婦」という前提をもとに制定されてきた傾向にあります。これは制定当時の日本の社会情勢を反映したものでしょう。
 
しかし、近年は女性の就労も一般的となったため、制度の在り方が現実と乖離しているという声がありました。
 
また、年金財政の健全化も見直しの大きな理由です。限られた財源のなかで世代間の公平性や男女間のバランスを図る必要があるため、制度の見直しを避けられない状況にあるのです。
 

改正の内容と今後のスケジュール

見直しの内容としては、女性は30歳以上、男性は55歳以上(支給は60歳から)で死別すると無期限で支給されている遺族厚生年金を、男女共通で「60歳未満で死別した場合は原則5年間の有期給付」に変更する方針が示されました。
 
具体的には、死別当時に子どもがいなかったり、子どもがすでに成人していたりするようなケースで、受給者が60歳未満である場合に、有期支給の対象になるという内容です。
 
5年間の有期支給とする代わりに、給付額を増額する「有期給付加算」が上乗せされる予定です。また、将来の自分の老齢厚生年金に上乗せできる「死亡時分割制度」など、新しい選択肢も用意される見通しです。
 
なお、厚生労働省によれば、男性が2028年4月から実施、女性は2028年4月から段階的に実施される予定です。ただし、今後の国会審議や関係機関との調整によって変わる可能性もあります。
 

影響を受けるのはどんな人? 現在受給中でも対象になるの?

気になるのは、「すでに遺族年金を受け取っている人にも影響があるのか?」という点です。
 
厚生労働省の方針では、制度改正後に新たに受給資格を得る人が対象とされる見通しで、すでに受給中の人には原則として適用されないとしています。また、18歳年度末までの子どもがいる場合はその年度末を迎えるまでは現行制度と同じとされています。
 
今回の事例における遺族厚生年金受給中の40代の方は、当面は現行の制度のもとで支給が継続されると考えられますが、将来に向けて制度変更の動向を注視することが大切です。
 

将来の生活にどう備える? 見直し後のライフプランの考え方

2028年4月に有期支給が施行された場合、一定期間を過ぎると年金収入が途絶える可能性があるため、生活設計の見直しが必要になるかもしれません。
 
例えば、老後資金を遺族厚生年金などの公的年金だけで賄うのではなく、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAといった制度を活用した自助努力も重要です。また、年金に加え、パートなどでの就労収入も将来設計のひとつとして考える必要があるかもしれません。
 
生活費のバランスや将来の医療・介護費などを見据えながら、ライフプランを見直していくことが、安心な暮らしを守るための第一歩となります。
 

制度変更に向けて今できること

遺族厚生年金は家族を亡くした遺族の生活を支える大切な制度ですが、2028年4月以降「60歳未満で死別した場合は原則5年間の有期給付」へと見直される予定です。子どもがいる場合などに例外はありますが、若年層の受給者には影響が及ぶ可能性があります。すでに受給中の人には原則適用されませんが、将来的な制度改正の動向を注視することが重要です。
 
今後の生活に備えるためには、iDeCoやNISAの活用、就労収入の確保など、自助努力も組み合わせてライフプランを見直すことが必要になってくるでしょう。
 

出典

厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方(1ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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