現在64歳、夫の「遺族年金」を受け取りながら生活しています。来年自分の年金の受け取りが始まったら、遺族年金は支給されなくなりますか?

配信日: 2025.09.02 更新日: 2025.10.21
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現在64歳、夫の「遺族年金」を受け取りながら生活しています。来年自分の年金の受け取りが始まったら、遺族年金は支給されなくなりますか?
「夫が亡くなって以来、遺族年金で生活をしてきました。来年からは自分の老齢年金ももらえる年齢になりますが、遺族年金はどうなるのでしょうか?」年金制度に詳しくない方にとって、このような疑問は非常に身近で切実です。
 
老齢年金と遺族年金を一緒に受給できないケースもありますが、諦めなくてもいいかもしれません。本記事では、年金と遺族年金の取り扱いや選択のポイントをはじめ、具体的な受給金額について分かりやすく解説します。
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遺族年金と自分の年金、同時に受け取れるのか

日本の年金制度は「一人一年金」が原則です。支給事由(老齢、障害、遺族)が異なる2つ以上の年金受給資格を得たときは、いずれかを選択する必要があります。

老齢基礎年金と遺族厚生年金は種類が異なるため、一緒に受け取れます。ただし、同じ種類の年金(例えば老齢厚生年金と遺族厚生年金など)は一緒に受給できず、どちらかを選択しなければなりません。
 
老齢給付には「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」の2種類があり、遺族給付には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。
 
老齢基礎年金の受給対象者は原則18歳までの子のある配偶者、または子であるため、現在64歳で遺族給付を受給している方であれば、受け取っているのは遺族厚生年金である可能性が高いでしょう。65歳になると自身の「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の受給資格が発生します。
 
老齢厚生年金の受給資格が発生した場合、遺族厚生年金か老齢厚生年金のどちらかを選択することになります。
 

年金の受給は「選択制」

年金制度には「選択制」という考え方があります。支給金額が高いほうの年金を受け取れる制度です。
 
しかし、老齢基礎年金と遺族厚生年金のように年金の種類が異なる場合は、併給(両方の受給)ができます。例えば、「老齢基礎年金+遺族厚生年金」という組み合わせが可能です。一方で、「自身の老齢厚生年金」と「遺族厚生年金」のように、同じ種類の年金の支給条件が重なる場合は、老齢厚生年金を優先して選択しなければなりません。
 
なお、老齢厚生年金額よりも遺族厚生年金の支給額のほうが高い場合は、差額を上乗せして受け取ることができます。
 
いずれの選択をする際も年金受給選択申出書を地域の年金事務所または年金センターに提出する必要があるようです。
 

具体的にどうなる? 支給のシミュレーション

ここからは、支給のルールについて解説します。例えば、以下のようなAさんのケースで考えてみましょう。
 
Aさん(65歳女性)は老齢基礎年金を年額78万円(月額6万5000円)を受給できることになりました。現在、亡くなった夫の遺族厚生年金を年額70万円(月額約5万8000円)受け取っています。Aさんに支給されることになった老齢厚生年金は年額50万円(月額約4万2000円)でした。
 
このような場合、老齢基礎年金(78万円)は厚生年金部分と併給することができます。一方、遺族厚生年金と老齢厚生年金は、「一人一年金」の原則によって併給できなくなるでしょう。
 
老齢厚生年金(50万円)が優先して選択されますが、これまで受給してきた夫の遺族厚生年金が年額70万円であるため、年金額は減少します。自身の老齢厚生年金との差額の20万円(月額約1万7000円)が上乗せ支給されます。
 
Aさんは「老齢基礎年金78万円+老齢厚生年金50万円+遺族厚生年金との差額20万円」で、年額合計148万円(月約12万3000円)を受給できることになります。
 

65歳からの遺族年金と自分の年金の関係まとめ

遺族年金と自身の年金の関係は複雑ですが、基本は「一人一年金」の原則に基づいています。65歳になると老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給資格が発生しますが、老齢基礎年金は遺族厚生年金と併給できます。
 
一方、自分の老齢厚生年金と夫の遺族厚生年金は同時に受け取れず、どちらかを選ぶ必要があります。
 
ただし、自分の老齢厚生年金が少ない場合には遺族厚生年金との差額が上乗せされる仕組みがあるため、急に年金額が大幅に減る心配は基本的にありません。制度を理解し、将来の受給に備えることが大切です。
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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