夫の年金が急に“月2万円減った”…!? その理由と“救済されるケース”とは?
年金は原則として安定して支給されますが、特定のタイミングで支給額が減る仕組みが存在します。しかも、その一部は「救済措置」で配偶者の年金に振り替わるケースもあります。
本記事では、年金が急に減る主な理由と、救済される場合の仕組みについて解説します。
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目次
夫の年金が急に2万円減った! よくある原因とは?
最も代表的なのは、「加給年金」の支給が停止されるケースです。
加給年金とは、厚生年金に20年以上加入した人が、65歳到達時点で生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳到達年度の末日までの子ども(または20歳未満で一定の障害のある子ども)を扶養している場合に加算される制度です。
およそ月2万円が上乗せされるため、これが止まると一気に手取りが減ったように見えるのです。停止のタイミングは、配偶者が65歳になったとき、または扶養条件を満たさなくなったときです。
また、在職老齢年金の調整もよくある原因です。年金を受け取りながら働き、給与と年金の合計が51万円を超えると、超過分に応じて年金が減額されます。働き方や給与額が変わることで、支給額が急に減ることがあります。
なお、令和8年度より51万円から62万円へ引き上げが予定されています。さらに、税金の特別徴収が始まり、手取り額が減ったように見える場合もあります。住民税や所得税が年金から天引きされることで、見かけ上の減額が起こります。
加給年金が止まったときの“救済策”振替加算とは?
「夫の年金から加給年金が外れてしまった……」と落胆する方も多いでしょう。ですが、その分が配偶者の年金に振り替えられるケースがあります。
これが「振替加算」です。配偶者が65歳に達したとき、夫の加給年金は止まりますが、代わりに妻の老齢基礎年金に一定額が加算されます。金額は配偶者の生年月日により異なり、数千円から月1万円程度ですが、世帯単位で見えれば救済措置になっているのです。
つまり「夫の年金が減ったけれど、妻に振替加算がつく」場合があります。ただし、加給年金より少額であるため、場合によっては家計の負担感が増すこともあります。
そのほか考えられる減額要因:在職老齢年金や税金の影響
先述したとおり、加給年金以外にも次のような要因で年金が減ることがあります。
・在職老齢年金:給与と年金の合計が基準額を超えると調整が入る
・税金の天引き:住民税や所得税の徴収が始まると手取りが減る
・制度改正や物価スライド:年金額そのものが見直される場合もある
いずれの場合も、年金機構からの「年金振込通知書」や「年金額改定通知書」に理由が記載されています。まずは書類を確認し、不明点があれば年金事務所に問い合わせましょう。
まとめ:まずは通知書を確認し、不安なら年金事務所へ相談を
夫の年金が突然2万円減った背景には、加給年金の停止や在職老齢年金の調整、税金の天引きといった仕組みが関係していることが多いです。
ただし、配偶者の年金に振替加算が行われるケースもあり、世帯全体での救済措置も設けられています。
まずは届いた通知書を確認し、どの制度が影響しているのかを把握することが第一歩です。それでも不安が残るときは、年金事務所や年金相談センターに相談しましょう。正しい知識を持つことで、不安を軽くし、安心して老後生活を送ることにつながります。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
厚生労働省 年金制度改正法が成立しました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
