若い頃に「2年分・40万円」の未納があると、“将来の年金額”はどれだけ減る? 友人に「40歳から追納は無理」と言われましたが、諦めるしかないのでしょうか?
年金保険料を支払っていない期間の分は、将来受給する年金額から減額されてしまうため、なんとかして未納分の年金保険料を払いたいという人もいるでしょう。しかし、納付期限後の年金保険料支払いには条件があるため、後追いの納付ができないことも少なくありません。
本記事では、国民年金保険料を後から支払う場合の条件や、後追いの納付ができない場合の補てん方法について解説します。
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国民年金の仕組みと受給資格
国民年金(老齢基礎年金)の制度は、20歳から60歳までの40年(480ヶ月)にわたり保険料を納めることを前提としており、老齢基礎年金を満額(2025年度は年間83万1700円)受け取るためには、480ヶ月間、国民年金保険料を納付していなければなりません。
なお、会社員で厚生年金保険料を支払っている期間や、会社員に扶養されている第3号被保険者の期間も保険料納付済期間に含まれます。
本ケースのように、2年(24ヶ月)にわたり、国民年金保険料を未納のまま放置した場合、2年間分の未納額が影響し、将来受け取れる年金額は減額されます。
具体的には、2年間未納の場合の老齢基礎年金の年間受給額は次の通りです。
・83万1700円×(456ヶ月÷480ヶ月)=79万115円
つまり、2年間の未納により、満額と比較して毎年4万円以上が減額されるということです。仮に20年にわたって年金を受け取ったとすると約80万円以上になりますので、決して小さい金額ではないでしょう。
未納分を後から払う方法
国民年金保険料は納付期限から2年以内であれば後から納めることができます。また、学生納付特例や免除・納付猶予制度などを利用していた場合については、10年以内であれば追納が可能です。
本ケースのように単なる未納で、仮に未納期間が20年近く前のものであれば、すでに2年の時効が過ぎているため、通常の後払いはできないというのが原則です。つまり、友人の「無理なのでは?」という指摘は、制度上は正しいといえます。
期限切れの場合は「任意加入制度」で補てん可能
納付期限から2年を過ぎ、追納制度を利用できない場合でも、「任意加入制度」を使えば、過去の未納分を将来の納付で補うことができます。
任意加入制度とは、60歳を過ぎても年金保険料を自ら支払う制度で、以下の全ての条件を満たす人が対象です。
・国民年金保険料の納付月数が480ヶ月に満たない
・老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない
・厚生年金保険、共済組合などに加入していない
任意加入できる年齢は、60歳から65歳の間です。つまり、20代での2年間の未納は、40歳の人が今からすぐに補うことはできませんが、将来60歳以降に「任意加入」を選ぶことで不足分を補えるチャンスがあるといえます。
まとめ
40歳になって若い頃の年金未納に気づくと、不安になるのは当然かもしれません。未納分の支払いや追納は「2年間」「10年間」という期限があるため、条件を満たしていなければ今すぐの補てんはできません。しかし、将来の「任意加入制度」を活用すれば、未納分を取り戻せます。
まずは日本年金機構の窓口や「ねんきんネット」で記録を確認し、自身にとって最適な方法を探ることが安心につながるでしょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 保険料を納めなかった期間がありますが、今から納めることができますか。
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 任意加入制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
