65歳以降も働いている知人は、毎年10月分から年金が「2万円」増えているそうです。定年退職した私は年金額が変わらないのですが、なぜですか?
今回は、働いていると毎年年金額が増える理由や増える金額の例、また働いていなくても老後の年金を増やす方法などについてご紹介します。
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年金が65歳以降も毎年増える理由
65歳以降も働いている人が厚生年金保険に加入している場合、在職定時改定により年金額が増える可能性があります。
在職定時改定は、毎年9月1日を基準日として、65~70歳までの厚生年金保険加入者の受給額を加入期間に応じて見直し、改定する仕組みです。改定されるのは10月分の年金からのため、12月に受け取る分から増額します。
ただし、65歳以降でも、働いている間に受け取る給与によっては年金額に調整が入る可能性があるので注意しましょう。働きながら受け取る年金を「在職老齢年金」と呼びますが、老齢厚生年金と月給の合計が51万円を超えると、超えた分の年金が支給停止されます。
もし知人のように年金を受け取りながら働きたい場合は、月給と老齢厚生年金の合計が51万円を超えない範囲で働くといいでしょう。
年金額はどれくらい増える?
増加する年金額は、給料によって変動します。
日本年金機構によると、65歳以前、以降も平均標準報酬額が20万円の人の場合、1年につき約1万3000円年金が増額すると示しています。もし65~70歳まで同条件で働いてきたとすると、合計で約6万5000円増額する計算です。
なお、平均標準報酬額とは、税金が引かれる前の1ヶ月あたりの給与を一定金額ごとに区分した報酬月額に当てはめて決められる標準報酬月額と、150万円を上限として税金が引かれる前の賞与から1000円未満を切り捨てた標準賞与額の、加入期間中の平均値です。
平成15年4月以降に厚生年金に加入した場合、老齢厚生年金額は「加入月数×0.005481×平均標準報酬額」で求められます。標準報酬額の基準は日本年金機構でも公表しているため、おおよその年金額の目安なら自分で計算できます。
加入月数が増えることでいくら年金が増えるか気になる場合は、報酬比例部分を計算してみるといいでしょう。
在職定時改定以外で老後の収入を増やす方法
もし老後に働くつもりはないものの、収入や老後の資金をできるだけ増やしたい場合は、ほかの手段で資金繰りをする必要があります。
まずは、生活費の見直しをしましょう。普段の収支を書き出すと、無駄な出費があった場合に気付きやすくなります。特に、水道光熱費などの固定費は、一度減らせるようになると継続して節約ができる項目です。ただし、暑い夏の日にエアコンを使わないなど、無理をする節約はやめましょう。
資産運用をすることも選択肢の一つです。元本を基に資産を積み立てられるので、定年退職後でも資金作りができます。年金の10%など、無理のない範囲で運用するといいでしょう。
必要に応じて、子どもや孫に資金援助を依頼する方法もあります。退職をしてから老後の資金で困ったときは、相談してみましょう。
働いていると在職定時改定の対象になるため年金額が増える場合がある
働きながら年金を受け取っていると、在職定時改定の対象となるため、毎年10月分の年金から金額が増える場合があります。今回のケースでは、その知人が働いているのであれば、在職定時改定の対象になっている可能性が高いでしょう。
増額する金額は、受け取っている給料によって変動します。もし知人と同じように老後に働いたとしても、同じ金額だけ増加するとは限らない点に留意しておきましょう。
在職定時改定以外の方法で老後の資金を増やしたい場合は、まず不要な支出を減らします。また、年金額に多少余裕があるなら資産運用をするのもいいでしょう。自分に合った方法で、老後の資金作りをすることが大切です。
出典
日本年金機構 60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
