祖父は月に「25万円」もの年金を受給しているようです。こんなにもらっている人は、ほかにどのくらいいるのでしょうか?

配信日: 2025.09.09 更新日: 2025.10.21
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祖父は月に「25万円」もの年金を受給しているようです。こんなにもらっている人は、ほかにどのくらいいるのでしょうか?
年金は老後の生活を支える大切な収入源ですが、その金額には大きな差があります。「平均はいくら?」「どれくらいもらえると安心なのか?」といった疑問を持つ人も多いでしょう。
 
そこで本記事では、年金の受給額について、平均値や高額受給者の割合をもとに解説します。
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平均的な年金額はどのくらい?

日本の公的年金制度は、主に「国民年金」と「厚生年金」の2つで構成されています。会社員や公務員などは厚生年金に加入し、自営業やフリーランスの人は国民年金に加入しています。この違いによって、受け取る年金額にも大きな差が生じます。
 
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金受給額の平均月額は国民年金が5万7700円(老齢年金25年以上)、厚生年金が14万6429円です。
 
例えば、夫婦2人世帯で双方が厚生年金を受給していれば、世帯全体で月29万円程度になる可能性もあります。しかし、単身で14万円前後しか受給していない高齢者も多く、都市部では家賃や生活費の負担が大きく、年金だけでは生活が厳しいというケースも珍しくありません。
 
一方で、年金を月に20万円以上もらっている人も一定数存在します。そのなかでも月25万円以上という金額を受け取っている人は、かなり限られた層にあたります。平均額から見ても、25万円という受給額は突出しており、かなりの上位層といえます。
 

月25万円以上受け取る人は、どれくらいいる?

高額の年金受給者がどれくらい存在するのかは、多くの人が気になるポイントです。「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、月25万円以上の厚生年金を受け取っている人の数は、全国で約27万7000人とされています。
 
日本全体の厚生年金受給者は約1600万人で、割合にすると約1.7%、100人中わずか1〜2人しか存在しない計算になります。つまり、月25万円以上という金額をもらっている人は、ごく少数の“高額受給者”であることが分かります。
 
このような金額を受け取っている人は、どういった職業や働き方をしていたというと、多くは大手企業に長く勤務していた管理職層や役員、公務員のなかでも高位の職にあった人たちと考えられます。また、年金制度が現在よりも手厚かった時代に働いていたことも影響しています。
 
また、退職後も再雇用や嘱託などで65歳以降も長く働き続けた人などは、加入期間が長くなり、その分受給額も増える傾向にあります。なお、個人年金や企業年金などを併用して年金収入月額が25万円以上というケースもありますが、ここでは公的年金(老齢厚生年金)に絞って考えています。
 

高額年金を受け取れる理由とは?

月に25万円もの年金を受け取るには、それに見合うだけの働き方や制度活用が必要です。本章では、その具体的な要因を詳しく見ていきましょう。
 
まず重要なのが、現役時代の収入水準の高さです。厚生年金は、月々の報酬や賞与に応じた保険料を納付するため、保険料が高いほど将来の年金受給額も増える仕組みです。したがって、年収が高く賞与も多かった人は、それだけ年金も多くもらえるのです。
 
次に、長期間厚生年金に加入していたことが挙げられます。例えば、22~60歳まで38年間勤務し、その後も65歳、あるいは70歳まで働いて保険料を納め続けた場合、年金額は大きく上乗せされます。最近では、70歳まで働く人も増えており、その分受給額にも反映されるようになっています。
 
さらに注目すべきは、繰下げ受給の制度です。本来65歳から受け取れる年金を、受給開始を遅らせることで、年金額を最大で42%増やすことができます。繰下げ受給を選択して70歳や75歳まで年金受給を遅らせた場合、年額にして数十万円単位で増えることもあります。この制度を活用することで、結果的に月25万円に達するケースもあるのです。
 
そのほか、加給年金や振替加算などの加算制度も見逃せません。特に配偶者や扶養家族がいる場合には、一定条件を満たせば加算される仕組みがあります。こうした制度を知り、適切に申請することが高額年金のカギになります。
 

高額年金は一部の人だけ。将来に備えてできることから始めよう

厚生年金の受給者のなかで、月25万円以上を受け取っている人はわずか1.7%程度です。つまり、ほとんどの人はそれ以下の年金で生活しているのが現実です。
 
ただし、年金額は過去の収入や加入年数、制度の選び方によって大きく変わります。今後の備えとして、早めに制度を理解し、自分にできる工夫を重ねることが、老後の安心につながります。年金制度を正しく理解し、将来の安心のため、早めに自分に合った備えを始めましょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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