日本年金機構から「学生納付特例」の追納についての案内が届きました。制度を受けた2年分「約40万円」の保険料を追納すると、年金はいくら増えるのでしょうか?

配信日: 2025.09.11 更新日: 2025.10.21
この記事は約 3 分で読めます。
日本年金機構から「学生納付特例」の追納についての案内が届きました。制度を受けた2年分「約40万円」の保険料を追納すると、年金はいくら増えるのでしょうか?
学生時代に国民年金保険料が支払えず、学生納付特例を受けた経験のある人もいるでしょう。制度を受けてから数年後に経済的な余裕ができた場合、追納することで受け取れる年金額が増える可能性があります。
 
今回は、追納制度で納付する年金保険料や、将来の年金額がいくら増えるのか、また追納するメリットなどについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

追納で年金保険料はいくら支払うことになる?

さまざまな事情で学生時代に学生納付特例や免除制度を受けていた場合、一定期間内であれば追納ができます。追納とは、先に述べたような理由で一時的に国民年金保険料を支払っていなかった人が、金銭面で余裕ができたときにあとから支払える制度です。
 
日本年金機構によると、追納は、追納が認められた月の前10年以内の免除や猶予制度が対象になります。例えば、20歳から24歳まで学生納付特例を受けていたとすると、30歳を超えると、20歳の分の追納はできません。
 
さらに、3年以上前に適用された納付特例などの未納分は、追納をするときに納付する保険料額が高くなります。もし全額免除や学生納付特例を受けていた人が、追納で保険料を支払う場合の金額は表1の通りです。
 
表1

学生納付特例や免除などを受けていた月 追納で支払う月額保険料 本来の保険料からの加算額
令和元年度の月分 1万6710円 300円
令和2年度の月分 1万6820円 280円
令和3年度の月分 1万6860円 250円
令和4年度の月分 1万6740円 150円
令和5年度の月分 1万6520円 加算なし
令和6年度の月分 1万6980円

※筆者作成
 
例えば、令和3年度と令和4年度で学生納付特例を受けていた人が、令和7年度に支払っていなかった期間の全額を追納したとしましょう。このとき支払う保険料総額は、「1万6860円×12ヶ月+1万6740円×12ヶ月」で40万3200円です。
 
通常通りに全期間を支払った場合と比較して、4800円多く支払うことになります。
 

追納で増える年金額はいくら?

老後に受け取れる老齢基礎年金額は、国民年金保険料を支払った期間に応じて変動します。追納でいくらくらい増えるのかを、以下の条件で計算してみましょう。

・老齢基礎年金額は令和7年度のもの
 
・学生納付特例を受けた2年を除いて国民年金保険料は全て支払っている

なお、学生納付特例を受けた期間は、追納しなければ計算に含まれません。また、令和7年度の年金額は83万1700円です。
 
もし2年間学生納付特例を受け、追納もせずそのままにしていると、老後に受け取れる老齢基礎年金額は79万115円になります。
 
追納すると未納分の保険料を納付したとして年金の計算時に加算されるため、今回のケースで2年分全てを追納した場合、年金を満額受け取れます。追納の有無による年金額の差は4万1585円です。つまり、年間4万1585円多く受け取れることになります。
 

追納のメリット

追納は年金額が増えるほかに、支払った保険料が社会保険料控除の対象となるメリットもあります。社会保険料控除とは、該当する社会保険料を支払った場合に、所得からその金額分を差し引ける控除です。
 
所得税や住民税は、所得を基に計算されるため、控除額が大きいほど税額も安くなります。金銭面にある程度余裕ができて、税金の負担を少しでも軽くしたい場合や将来の年金額を増やしたい場合は、追納を検討するとよいでしょう。
 

年間4万円以上多く年金を受け取れる可能性がある

追納制度は、さまざまな事情で学生納付特例や免除制度などを受けて、年金保険料の支払いをしなかった期間がある人が、あとから支払える制度です。学生納付特例などを受けたタイミングが、追納が承認された月の前10年以内の期間であれば追納でき、3年以上前の追納をする場合は加算額が保険料に上乗せされます。
 
一方で、追納すると保険料を支払ったとしてその期間も年金の計算に加えられるため、将来の年金額を増やせる点がメリットです。今回の場合、年間で4万円以上多く受け取れることになります。
 
追納により社会保険料控除額も増えるので、将来の年金額を増やしたい人や税金負担を軽くしたい人は、追納制度の利用を検討してみましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問