夫が今年「65歳」になりました。61歳の私はまだ年金をもらっていませんが「加給年金」の対象になりますか?
年金は一人ひとりの加入歴に応じて支給されますが、条件を満たすと配偶者の有無によっても受給額が変わる場合があります。その代表的な仕組みが「加給年金」です。
ただし、誰でも受け取れるわけではなく、配偶者の年齢や受給状況によって対象になるかどうかが決まります。本記事では、加給年金の基本と、61歳の配偶者が対象となるケースについて解説します。
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目次
加給年金とは? 配偶者がいると年金が増える制度
「加給年金」とは、厚生年金に原則20年以上加入し、65歳に達して老齢厚生年金の受給資格を得た人が、一定の条件を満たす配偶者や子どもを扶養している場合、その年金に上乗せして支給される加算金のことです。
この加算は、扶養されている状態の配偶者や子どもが対象であり、具体的には配偶者の所得が一定以下であることや、生計を維持していることなどが条件となります。金額は年度によって変わりますが、令和7年度の加給年金額は、65歳未満の配偶者の場合は年間23万9300円となっています。
また、1人目・2人目の子どもについては各23万9300円、3人目以降の子どもについては7万9800円が加算されます。これらの金額は法律や年度によって変動するため、最新情報の確認が必要です。
また、ここでいう子どもとは、18歳到達年度の末日までの間の子または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子を指します。なお、支給は配偶者本人ではなく、厚生年金を受け取る側(多くの場合は夫)に対して行われます。
加給年金の対象になるには? 基本的な条件を確認
加給年金が支給されるためには、主に次のような条件を満たす必要があります。
・厚生年金の加入期間が原則20年以上ある
・配偶者が65歳未満である
・配偶者が年金をまだ受給していない
・配偶者の年収が850万円未満(所得ベースで約655万円未満)
・配偶者と厚生年金被保険者が生計を一にしている
これらをすべて満たす場合、原則として、夫が老齢厚生年金受給権を取得し65歳に到達したタイミングで加給年金が加算されます。ただし、配偶者の年齢や収入、年金の受給状況によって支給されないこともあるため、事前の確認が大切です。
妻が61歳でまだ年金をもらっていない場合は?
今回のケースのように、夫が今年65歳になり、妻が61歳でまだ年金をもらっていないという場合、加給年金の対象になる可能性は高いです。今回のケースを、上記の条件に当てはめてみましょう。
・夫は65歳で老齢厚生年金の受給開始
・妻は65歳未満(現在61歳)
・妻が老齢基礎年金や厚生年金などの年金をまだ受給していない
・妻の所得が基準以下(年収850万円未満または所得約655万円未満)
すべての条件を満たしていれば、夫の年金に加給年金が上乗せされます。加算年金は多くの場合、自動的に加算されますが、年金の裁定請求書に配偶者の情報を正確に記載しておくことが大切です。
また、配偶者の所得が基準を超えると加給年金の対象外となるため、パートや自営業などで一定以上の収入がある場合は注意が必要です。
妻が65歳になると加給年金はどうなる?
加給年金は、配偶者が65歳になると支給が停止されます。これは、配偶者自身が老齢基礎年金などの年金を受け取り始めることにより、扶養されている状態とはみなされなくなるためです。
ただし、「振替加算」という仕組みがあり、一定の条件を満たす配偶者の場合はこの加算金が妻の老齢基礎年金に上乗せがされることがあります。
振替加算の対象となるのは、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた配偶者で、加給年金の対象だった方のうち厚生年金の加入期間などの条件を満たす方です。加算額は加入状況や生年月日などにより異なり、数万円程度が基礎年金に上乗せされる形になります。
61歳の妻は加給年金の対象になる可能性が高い
夫が65歳になり、妻が61歳で年金を受け取っていない場合、多くのケースで加給年金の対象になります。
重要なのは年齢だけでなく、妻が年金を受給していないことや、所得基準を満たしていることなどすべての条件をクリアしているかどうかです。また、妻が65歳になると加給年金の支給は終了します。
加給年金は、年金裁定請求書に配偶者情報を正確に記入することで自動的に反映されますが、不安な場合は年金機構へ早めに相談することをおすすめします。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
