夫が事故で大ケガをしてしばらく働けなくなりました…。「障害年金」はいくらくらい支給されるのでしょうか?
本記事では2025年度の最新データをもとに、等級別・加入制度別・家族構成別に、障害年金の支給額を具体例とともに解説します。
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障害年金とは? 制度のしくみと受給の条件
障害年金は、事故や病気によって障害が残り、働くことが難しくなった人の生活を支える公的制度です。条件を満たせば20歳から64歳の人が受給対象となります。
受給するには、以下の要件を満たしている必要があります。
1.初診日要件
障害の原因となったケガや病気で最初に医師の診察を受けた日(初診日)に、公的年金に加入していたこと
2.保険料納付要件
初診日の前日時点で、保険料を一定以上納めていること
3.障害認定要件
初診日から1年6カ月経過時点で、一定の障害等級に該当していること
また、加入していた制度によって受け取れる年金の種類が異なります。
・国民年金加入者
障害基礎年金(1級・2級)
・厚生年金加入者
障害厚生年金(1級〜3級)
等級ごとの支給額の目安
障害年金の金額は、障害の等級によって大きく異なります。令和7年度の年金額は以下の通りです(子の加算や配偶者加給年金は含まれていません)。
【障害基礎年金(国民年金加入者が対象)】
・1級
年間 約103万9625円(月額 約8万6635円)
・2級
年間 約83万1700円(月額 約6万9308円)
【障害厚生年金(会社員など厚生年金加入者が対象)】
・1級
報酬比例部分 × 1.25 + 障害基礎年金1級 + 配偶者加給(該当者)
・2級
報酬比例部分 + 障害基礎年金2級 + 配偶者加給(該当者)
・3級
報酬比例部分のみ(最低保障額 年間62万3800円)
「報酬比例部分」とは、これまでの給与水準と加入期間に応じて決まる部分です。例えば、平均的な年収で20年勤務していた場合、報酬比例部分は年間40〜60万円ほどになるケースが多いです。
家族構成による加算と具体例でみる支給額
障害年金には、家族構成によって上乗せされる「加算」もあります。対象となる家族がいる場合は忘れずに申請しましょう。
【子の加算(障害基礎年金1級・2級)】
18歳到達年度末までの子ども、または20歳未満で障害のある子どもがいる場合、次の加算があります。
・第1子、第2子
各年額 約23万9300円
・第3子以降
各年額 約7万9800円
【配偶者加給年金(障害厚生年金1級・2級)】
配偶者が65歳未満で生計を同じくしている場合、年額 約24万2800円が加算されます。
<具体的な支給例>
会社員で障害等級2級と認定された夫(平均年収、厚生年金加入歴20年)、妻と子1人を扶養している場合
・障害基礎年金2級
83万1700円
・報酬比例部分
約50万円(仮定)
・子の加算
23万9300円
・配偶者加給年金
24万2800円
合計 年額 約181万3800円(月額 約15万1150円)
このように、扶養家族の有無や年金加入歴によって大きく金額が変わる点に注意が必要です。
申請時の注意点と将来の生活設計に役立てるには
障害年金の申請では、初診日や障害の状態を証明する書類が重要になります。特に初診日がいつか分からない場合、受給できなくなるリスクもあります。診療明細や紹介状など、日付の記録が残る書類は大切に保管しましょう。
また、診断書は「障害認定日」時点での状態をもとに作成されますが、症状が悪化した場合は「額改定請求」も可能です。
障害年金は、他の公的支援(生活保護や就労支援)と併用できる場合もあります。将来的な生活設計を考えるうえで、障害年金を「生活の土台」として活用し、早めに専門機関(年金事務所や社会保険労務士)に相談することをおすすめします。
障害年金で家計を守る第一歩を
事故や病気で働けなくなったとき、障害年金は生活を支える心強い制度です。しかし、受給額は障害の等級、年金の加入歴、扶養家族の有無などさまざまな要素によって大きく異なります。
「うちは該当するのか?」「どれくらいもらえるのか?」と不安な方は、まずは年金事務所や専門家に相談し、必要な書類の準備から始めましょう。早めに動くことで、手続きのミスや漏れを防げます。
生活の不安を少しでも軽くするために、障害年金の知識をしっかり身につけ、制度を正しく活用しましょう。
出典
NPO法人 障害年金支援ネットワーク 令和7年度(2025年度)の障害年金の金額
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
