「従業員30人」の会社でパート勤務をしています。”厚生年金”の加入対象が広がると聞いたのですが、私も入らなければいけないのでしょうか?

配信日: 2025.09.20 更新日: 2025.10.21
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「従業員30人」の会社でパート勤務をしています。”厚生年金”の加入対象が広がると聞いたのですが、私も入らなければいけないのでしょうか?
「最近、パートでも厚生年金に入らなきゃいけなくなったって聞いたけれど、本当?」「私の働く会社は小さいけれど、対象になるの?」といった疑問を抱える方が増えています。
 
特に、従業員30人ほどの小規模な会社で働く方にとって、制度の変更は不安なものでしょう。今回は、厚生年金の加入条件や、自分が対象になるのかどうかを解説します。
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パートも厚生年金に入らなきゃいけないの? 制度変更のポイント

これまで、大企業など一部の事業所や、労働条件を満たす場合を除き、パートやアルバイトなど短時間で働く方は、原則として厚生年金に入る必要がありませんでした。ただ、国は少子高齢化への対応として、2022年以降、パートなど短時間労働者にも厚生年金を広げる方針を進めています。
 
この制度の変更によって、従業員が501人以上 → 101人以上 → 51人以上と、順次対象企業が拡大されてきました。現在(2025年時点)では、従業員51人以上の会社で働いていて、一定の条件を満たすパートは、厚生年金への加入が義務となっています。
 

従業員30人の会社でも加入対象になることはある?

では、「従業員30人」の会社ではどうでしょうか。基本的には、従業員数が51人未満の会社では、短時間勤務のパートは厚生年金の加入義務はありません。つまり、会社の規模だけを見ると、現時点では対象外です。
 
ただし、注意が必要です。勤務時間や勤務日数が、正社員の4分の3以上に当たる場合には、会社の規模に関係なく厚生年金に加入することになります。
 
たとえば、会社の正社員が週40時間働いている場合、その4分の3は「週30時間」です。この時間以上働いていれば、従業員30人の会社であっても厚生年金の加入対象になります。
 

加入するとどうなる? メリット・デメリットを確認しよう

厚生年金に加入すると、毎月の給料から保険料が引かれるため、手取りは減ります。この点を不安に思う方も多いでしょう。
 
一方で、将来的にはもらえる年金が増えるという大きなメリットがあります。国民年金だけの人よりも、厚生年金に加入していた人の方が老後の年金額は高くなります。
 
また、万が一のときに支給される「障害年金」や、家族に支給される「遺族年金」なども充実しています。保険料の半分は会社が負担してくれるので、自己負担で国民年金を払うよりも効率的という面もあります。
 
ただし、「配偶者の扶養内」で働いていた方は、扶養から外れることで、配偶者の税金や手当などにも影響する可能性があります。加入前には家計全体での影響を確認しておきましょう。
 

自分が対象か迷ったら、勤務条件をチェックしてみよう

自分が厚生年金に入る必要があるかどうかを判断するには、次の項目をチェックしてみてください。


・週の労働時間が20時間以上
・月の賃金が8万8000円以上
・雇用期間が2ヶ月を超える見込み
・学生ではない

これらをすべて満たしていて、会社が従業員51人以上なら加入対象です。そして、正社員の4分の3以上の時間・日数で働いている場合は、会社の規模に関係なく加入が必要になります。
 
不安な場合は、職場の総務担当者や最寄りの年金事務所に相談することをおすすめします。なお、月収8万8000円の賃金条件は3年以内に撤廃が予定されており、会社の規模の条件も以下の流れで段階的に縮小・撤廃が予定されています。


・2027年10月以降:36人以上の企業
・2029年10月以降:21人以上の企業
・2032年10月以降:11人以上の企業
・2035年10月以降:10人以下の企業

今は対象外でも、将来的に加入が必要になる可能性があります。
 

まとめ

「厚生年金の対象が広がった」という話は本当ですが、従業員30人の会社でパート勤務している人の多くは、現時点では加入義務がありません。ただし、働き方によっては加入が必要になるケースもあります。
 
また、加入が必要になる条件は、今後、縮小・撤廃が予定されています。制度や自分の働き方と勤務先の条件を定期的に確認することが大切です。将来の安心のためにも、正しく理解して備えておきましょう。
 

出典

厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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