現在65歳ですが夫が亡くなり遺族厚生年金「5万円」をもらえることに。「老後の年金を受け取ると遺族年金は減る」と聞いたのですが、満額受け取れないのでしょうか?
今回は、2種類の年金が受け取れるケースや、2種類の年金から1つの年金を選んだときの手続きなどについてご紹介します。
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受け取れる年金は基本的に1種類
複数の種類の年金を同時に受け取ることは基本的にできません。日本年金機構によると、原則として1人1年金と決められているためです。
そもそも、年金は支給理由に応じた3種類があります。どの年金も基礎年金と厚生年金の2階建てになっており、それぞれの基礎・厚生年金を同時に受け取るのは1年金とみなされるため問題ありません。
しかし、老齢年金と遺族年金、また障害年金と老齢年金など、別の種類の年金はそれぞれが1つずつとして計算されるため、2種類の受給権が発生した時点でどちらかを選ばなければなりません。
条件によっては併給できるケースもある
原則として受け取れる年金は1人1種類のみです。しかし、条件を満たしていると2種類の年金を受け取れる組み合わせがいくつかあります。
今回のように65歳以上で老齢厚生年金を受け取っている人が遺族厚生年金も受け取りたい場合は、「遺族厚生年金-老齢厚生年金相当額」の差額を遺族厚生年金として受給し、65歳以降の老齢厚生年金は満額を受給する形なら可能です。
もし遺族厚生年金が月5万円であれば、老齢厚生年金が月5万円未満だと受け取れるでしょう。このことからも分かるように、老齢厚生年金を受け取るのであれば、遺族厚生年金は満額受け取れません。
一方、65歳以上で老齢基礎年金のみの受給権を有している人のケースでは、老齢基礎年金と遺族厚生年金の両方を満額受け取れます。
例えば、令和7年度の老齢基礎年金を満額受け取れる人が、月5万円の遺族厚生年金も受け取れるとしましょう。受け取れる1ヶ月の合計金額は、「6万9308円(老齢基礎年金満額)+5万円」で合計月11万9308円受給できます。
受け取る年金を選んだときの手続き
2種類以上の年金を受け取れるようになり、いずれか1つを選ばなければならなくなったときは、「年金受給選択申出書」の提出が必要になる場合があります。日本年金機構によると、以下のような場合が当てはまります。
・年金を受給中の人が別の種類の年金を受け取れるようになったとき
・すでに2種類以上の年金を受給しているものの、いずれかの年金額が変わったため受け取る年金の種類を変えた方が有利になるとき
・税金や社会保険料、厚生年金基金、労災などのさまざまな事情により受け取り年金の種類を変えたいとき
もし条件に該当していれば、年金機構が公開している専用用紙に必要事項を記入し、年金事務所か年金相談センターへ提出しましょう。ただし、共済組合などから年金を受け取っている場合は様式が変わるため、共済組合などのホームページで確認が必要です。
なお、記載事項の1つにマイナンバーもしくは基礎年金番号があります。マイナンバーカードか年金手帳、もしくは基礎年金番号通知書を手元に用意して記入するとよいでしょう。
2種類以上の年金を受け取ることは原則できない
受け取れる年金は原則1人1年金と決められているため、2種類以上の年金を受け取ることはできません。しかし一定条件を満たしていると、併給できる可能性があります。
今回のケースのように遺族厚生年金を受け取れるようになった場合は、自身の老齢厚生年金の金額と比較して、条件に合致しているか確認してください。満額は受け取れませんが、遺族厚生年金の一部は受け取れる可能性があります。
なお、2種類以上の年金を受け取れるときなどは申出書の提出を忘れないようにしましょう。
出典
日本年金機構 年金の併給または選択
日本年金機構 2つ以上の年金を受ける権利ができたとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
