親に「転職が多いと年金が減る」と言われ驚き! 年金記録に“空白期間”ができるそうですが、なぜですか? 具体的な「訂正手順」も確認

配信日: 2025.09.24 更新日: 2025.10.21
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親に「転職が多いと年金が減る」と言われ驚き! 年金記録に“空白期間”ができるそうですが、なぜですか? 具体的な「訂正手順」も確認
転職経験者が陥る可能性のある「年金の落とし穴」を知っていますか? 実は、転職時の手続きミスによる「空白期間」で、将来の年金が数十万円減ってしまうかもしれません。転職を何度も繰り返すと年金手続きにミスが生じる可能性があるからです。ただし、適切な手続きや記録の確認・訂正により、損失は防げます。
 
本記事では、年金記録の空白が生じる原因とそれを防ぐ対策、年金記録の確認方法や訂正の方法など、今すぐできる実践的な内容を分かりやすく解説します。
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転職を繰り返すと年金が減るって本当? 厚生年金の「空白期間」とは

「何度も転職すると年金が減る」は、可能性としてはありえます。転職を何度も繰り返すと手続きミスによる「年金の空白期間」が生じやすくなるからです。年金関連の手続きは転職1回につき、少なくとも2回発生します。

1つは、退職時に前の会社が行う「被保険者資格喪失届」(年金の脱退手続き)の提出。
 
もう1つは、新しい会社に就職した際に行う「被保険者資格取得届」(年金の加入手続き)の提出です。それぞれ原則として退職日や採用日から5日以内に、事業主が日本年金機構に届け出る必要があります。
 
また、退職から再就職までの間に月をまたぐような空白期間がある(例えば、8月29日に退職して9月3日に転職した)場合には、14日以内に国民年金の「第1号被保険者」への種別変更が必要です。この手続きは、本人が市区町村の役所で行います。これを放置すると、未納期間として記録に残り、将来の年金額に影響を及ぼす可能性があります。
 
どれか1つでも手続きが漏れた期間があれば、「空白期間」として年金記録に残ります。もちろん、転職回数が多いからといって確実に年金が減るわけではありません。しかし、年金手続きの抜け漏れリスクが増える結果、将来の年金受給額が減る可能性があるのです。
 

空白期間があると年金はいくら減る? 具体的な損失額

年金記録の空白の要因は、本人の手続き漏れに限らず、事業主の加入漏れや離職直後の未納、第3号から第1号への切替え遅れ、氏名・フリガナ変更に伴う記録不一致などがあります。 では、空白期間があると実際にどれくらい年金が減るのでしょうか。
 
国民年金の場合、1年間の未納で年額約2万円の減額になります。そのため、仮に半年(6ヶ月)の空白でも年間約1万円の損失となります。65歳から85歳まで20年間受け取ると考えると、総額で約20万円も損をする計算です。厚生年金も報酬額と加入月数に応じて年金額が変動するため、やはり相当額の年金を失うことになります。
 
では、年金記録の空白期間を作らないためにはどうすればいいのでしょうか。退職してから再就職まで日が空く場合は、すみやかに国民年金への切替え手続きを行い、就職までのあいだは毎月の保険料を納付するか、支払いが厳しければ免除・納付猶予の申請が必要です。
 
また、納付期限から2年を過ぎた保険料は時効が成立するので納められなくなる点にも注意しましょう。「就職してお金を稼いだら、さかのぼって保険料を払えばいい」と放置すると、埋め戻せない未納期間が生じるため将来の年金額に影響します。
 

まずは「ねんきんネット」で年金記録をチェック!

「自分の年金記録は大丈夫?」と心配になったら、まず「ねんきんネット」で確認しましょう。
 
ねんきんネットは、スマホやPCから24時間いつでも自分の年金記録を確認できる無料サービスです。スマホとマイナンバーカードがあれば、5分ほどで登録が完了します。
 
ログイン後、「年金加入記録」のページを開くと、これまでの加入履歴が時系列で表示されます。もし「(空いている期間があります)」という表示や、働いていたはずの時期に空白があれば、すぐに対処が必要です。
 

空白期間を見つけたら? 記録訂正の具体的な手順

「働いていた期間の厚生年金保険の記録がない」「払ったはずの国民年金保険料が未納になっている」など年金記録に間違いや空白期間があっても、訂正するチャンスは十分あります。
 
まずは、日本年金機構へ「年金記録訂正請求書」を提出しましょう。審査をスムーズに進めるコツは、当時の給与明細書・源泉徴収票・社員証・厚生年金基金加入員証など、厚生年金に入っていた事実を示す書類をできるだけ添付することです。
 
もし、手元に資料が残っていなくても諦める必要はありません。請求書の「請求の概要」欄に、会社名・所在地・在職期間・当時の給与額・同僚や総務担当者の名前など覚えている情報を詳しく書けば、年金機構や厚生労働省が元勤務先や公的機関に照会し、証拠や証言を集めてくれます。
 
訂正請求に期限はなく、たとえ10年以上前の記録でも是正のチャンスは残されています。訂正が認められれば、記録が修正されるだけでなく、すでに年金を受給している場合は不足分もさかのぼって支給される仕組みです。
 
ただし、退職後に国民年金への切替えや納付を失念した等の「自分のミスによる未納」は訂正請求の対象外です。
 
また、保険料の免除、納付猶予、学生納付特例を受けた人は10年以内なら免除や猶予された保険料の全部または一部を追納できます。しかし、保険料が「未納」の場合は、後から納められるのは納付期限から2年以内のみです。
 

今すぐ行動して、将来の年金を守ろう!

転職で年金が減るのは、転職そのものが原因ではなく、手続きミスによる「空白期間」が原因です。知らないうちに年金記録に穴があいている可能性があります。
 
しかし、心配はいりません。今すぐ「ねんきんネット」で記録を確認し、空白期間があれば訂正手続きを行い、年金の減額を防ぎましょう。
 

出典

日本年金機構 従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き
日本年金機構 就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き
日本年金機構 年金記録の訂正手続のあらまし
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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