10月の年金支給日に「支援給付金」が上乗せされると聞きました。実際いくらくらい増えるのでしょうか? 条件とかありますか?
今回は、給付額の目安や対象条件、申請方法について解説します。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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年金生活者支援給付金とは
年金生活者支援給付金とは、2019年にスタートした国の支援策で、消費税率引き上げによる負担軽減を目的としています。対象者には、偶数月の年金支給日に、年金に上乗せして給付金が支払われます。概要は、以下のとおりです。
●支給対象:所得が一定基準以下の年金受給者
●支給頻度:偶数月(2ヶ月分まとめて支給)
●支給方法:年金とは「別枠で」同じ口座に振り込み
2025年10月の支給額の目安
2025年度は物価上昇に伴い、給付額が2.7%増額されました。月額5450円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出され、次の(1)と(2)の合計額となります。
(1)保険料納付済期間に基づく額(月額)=5450円×保険料納付済期間/480月
(2)保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1551円×保険料免除期間/480月
昭和31年生まれで480月すべて納付済みの場合は、月額5450円(2025年度基準)、年額約6万5400円です。10月支給分は、8月・9月分の2ヶ月分の1万900円となります。
遺族年金生活者支援給付金としても同様に月額5450円(2025年度基準)、年額約6万5400円が条件を満たした場合に支給されます。
障害年金生活者支援給付金では障害等級により給付基準が異なり、2級では月額5450円、1級では月額6813円となっています。
対象となる条件
給付金を受け取るための条件は、以下のとおりです。
1. 老齢年金の場合
■65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
■同一世帯の全員が住民税非課税であること
■前年の公的年金等の収入+その他の所得が一定基準以下(例:年収約88万円以下)であること
このすべての条件に当てはまらなければなりません。
2. 障害・遺族年金の場合
■障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者であること
■前年の所得が479万4000円以下(扶養親族の数に応じて変動)であること
なお、この所得には障害年金や遺族年金は含まれません。これら年金は、非課税収入のためだからです。
申請方法と手続き
給付金は自動では振り込まれないため、申請手続きが必要です。
老齢・障害・遺族基礎年金を受給している人で、所得額が低下したこと等により、令和7年10月分から新たに年金生活者支援給付金の支給対象となる場合には、令和7年9月1日から順次、日本年金機構から年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届きますので、必要事項を記入し返送します。
添付書類などは不要です。請求書が届かない場合は、直接年金事務所または給付金専用ダイヤルへ連絡しましょう。請求書に基づいて申請した翌月分から支給開始となります。
すでに受給中の場合は、毎年の所得確認により継続判定されるので特別な手続きは必要ありません。所得が基準を超えた場合は、支給停止になることもあります。
まとめ
年金生活者支援給付金は、所得が一定基準以下の年金受給者に対して、偶数月の年金支給日に上乗せされる制度です。2025年10月に、8月分と9月分の各月額5450円の2ヶ月分がまとめて支給されます。
年金生活者支援給付金の受給には申請が必要で、住民税非課税世帯などの条件を満たすことが前提です。申請漏れを防ぎ、安心した生活を送るためにも、制度の活用をおすすめします。
出典
厚生労働省 年金生活者支援給付金制度
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
