68歳の母が「年金をまだ受け取っていない」と言っています。手続きを忘れると、これまでの年金はどうなるのでしょうか?
本記事では、年齢を過ぎてから請求を忘れた場合にどうなるのか、68歳で未請求なら今からできる対応、請求手順や注意点について解説します。
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年金は「自分で請求しないと受け取れない」
年金というと、「高齢になれば自動的にもらえる」と思っている方が少なくありません。しかし、実際は65歳になっても自動的に支給されることはなく、本人が「年金請求書」を提出して初めて受給が始まります。
日本年金機構からは、65歳になる前に「年金請求書」などの案内が郵送されますが、住所変更や書類の紛失などで見逃すこともあります。また、「繰下げ受給」制度の内容を理解しないまま請求手続きをしない方も一定数います。
したがって、68歳の時点でまだ年金を受け取っていない場合、多くは請求手続きを行っていなかった、あるいは制度を十分に知らなかったことが原因と考えられるでしょう。
請求が遅れても、過去の年金は受け取れる?
年金請求が遅れても、65歳以降の年金はさかのぼって請求が可能です。請求時に受給資格があれば、最大で5年分まで過去にさかのぼって受け取れる可能性があります。「老齢基礎年金」や「老齢厚生年金」は、年金請求書を提出し65歳時点で受給資格があれば、その時点までさかのぼって最大5年分の年金を一括で受け取ることが可能です。
ただし、年金の請求には基本的に5年の時効があり、70歳を超えてからさかのぼって請求する場合、5年以上前の分は時効により受け取れないことがあります。請求の遅れが長いと、本来受け取れるはずの年金の一部を失う可能性があるため注意が必要です。
今からでも間に合う?68歳でできること
68歳という年齢であれば、まだ十分に間に合います。まずは、お近くの年金事務所に連絡を取り、状況を確認しましょう。年金事務所では、以下のような情報をもとに相談・請求の手続きを進めてくれます。
●本人の基礎年金番号(年金手帳や通知書など)
●生年月日と年金の加入状況(国民年金・厚生年金)
●過去の保険料納付状況
●請求に必要な本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
また、請求にあたっては「年金請求書」の提出が必要ですが、これは郵送でも提出できますし、年金事務所の窓口や、マイナポータル経由で電子申請することも可能です。
その際、繰下げ受給(受給開始を遅らせて年金額を増やす方法)を検討することもできますが、68歳であれば遅れて請求し、過去分を一括受給することも選択肢の一つです。どちらが適切かは各自の状況に応じて判断してください。
請求忘れを防ぐために知っておくべきこと
年金請求忘れを防ぐためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。まず、年金の請求案内は、65歳になる2〜3ヶ月前に郵送で届きます。この案内が届いたら、放置せず内容を確認し、必要書類を揃えて早めに手続きを進めましょう。
また、親の手続き状況が心配な場合は、本人の委任状があれば、家族が年金事務所に問い合わせることも可能です。定年後は気が緩みやすく、制度の手続きにうとくなることもあるため、家族のサポートが重要です。
まとめ
68歳で年金を請求していないことに気づいた場合でも、決して遅すぎるわけではありません。年金は、自分で請求しなければ支給が始まらない仕組みですが、65歳以降の分については過去にさかのぼって受け取れます。
ただし、5年以上遅れてしまうと、一部が時効で受け取れなくなる可能性もあるため、「気づいたとき」が行動のタイミングです。迷ったら、まず年金事務所に相談してみる。それが年金を“もらいそびれない”ための第一歩です。
出典
日本年金機構 老齢年金の請求手続き
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー