父が「老齢年金」をもらう前に亡くなりました。子どもとして受け取れるお金はありますか?
本記事では老齢年金を受け取る前に亡くなった場合に子どもが受け取れるお金について、制度の仕組みや受け取り条件を解説します。
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老齢年金をもらう前に亡くなった場合に支給される年金制度
父親が年金を受給する前に亡くなった場合、まず考えられるのは「遺族年金」です。これは、主に遺族の生活を支えるために国民年金や厚生年金から支給される制度です。遺族年金にはいくつかの種類があり、どれが対象になるかは加入していた制度や遺族の状況によって異なります。
遺族基礎年金は、亡くなった人が国民年金加入中または特定条件を満たした場合、その人により生計を維持されていた婚姻していない「18歳到達年度の末日(通常は高校卒業まで)までの子」、または20歳未満で障害等級1級または2級の障害のある子がいる配偶者、あるいはその子どもに支給されます。
つまり、子どもが高校生以下の場合、父が老齢年金受給前に亡くなっても遺族基礎年金を受け取れる可能性があります。
厚生年金に加入していた場合には「遺族厚生年金」が加わります。こちらは主に配偶者や子どもに支給され、父が現役世代で会社員など厚生年金に加入していた場合には、遺族基礎年金に上乗せされる形で受け取れる場合があります。
一方で、すでに子どもが成人して独立している場合には、遺族基礎年金の対象外となることが多く、子どもが直接受け取れる年金は限られてきます。この場合は主に配偶者(母親など)が受け取る対象となる点に注意が必要です。
子どもが直接受け取れる可能性のあるお金
子どもが未成年であれば「遺族基礎年金」や「遺族厚生年金」の対象になる可能性があります。父が老齢年金を受け取る前であっても、必要な保険料納付要件が満たされていれば、子どもが直接受給できるのです。
一方で、子どもがすでに成人している場合には、年金としての受け取りは難しくなります。ただし、「寡婦年金」や「死亡一時金」といった制度が用意されています。
寡婦年金は、自営業者など国民年金第1号被保険者として10年以上保険料を納めた夫が亡くなった場合に、その妻が60歳から65歳まで受け取れる年金です。配偶者に支給されるため、子どもが直接受給することはできません。
「死亡一時金」は国民年金に一定期間以上加入していた人が年金を受け取らずに亡くなった場合に、遺族が一時金として受け取れる制度です。
ただし、受け取れるのは原則として配偶者→子ども→父母→孫→祖父母の順で、請求の優先順位が決まっています。つまり、母親が存命で請求可能な場合には子どもが直接受け取れることはありませんが、母親がすでに亡くなっている場合などには子どもに支給される可能性もあります。
手続きの流れと注意点
遺族年金や死亡一時金を受け取るためには、遺族からの「請求手続き」が必要です。年金は自動的に支給されるものではなく、所定の書類を提出して初めて受給が開始されます。請求先は居住地を管轄する年金事務所や市区町村の役所になります。
必要書類には、亡くなった方の除籍謄本や住民票、戸籍謄本、年金手帳、請求者(子ども)の戸籍関係書類や住民票、振込口座の通帳コピーなどが含まれます。状況によってはさらに追加書類が求められることもあるため、事前に年金事務所で確認しておくと安心です。
また、請求には消滅時効があります。遺族年金の場合は、基本権(受給権)は死亡日の翌日から5年で消滅時効となりますが、やむを得ない事情があれば5年経過後も請求可能です。
一方、死亡一時金の時効は2年ですので、こちらは5年より短い期間で請求しなければ受給権が消滅します。いずれにせよ、できるだけ早めに手続きを進めることが大切です。
まとめ
父が老齢年金を受け取る前に亡くなった場合、子どもが受け取れるお金は状況によって異なります。未成年なら遺族基礎年金や遺族厚生年金が対象になることがありますが、成人している場合は母親が受給者となるのが一般的です。子ども自身が直接受け取れるのは死亡一時金など限られた場合に限られるため、実際の可否は年金事務所で確認することが大切です。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族基礎年金を受けられるとき
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
