現在、“月13万円”の「遺族年金」を受け取っています。来年子どもが「18歳」になりますが、18歳を超えると遺族年金はどれくらい減ってしまうのでしょうか?

配信日: 2025.09.28 更新日: 2025.10.21
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現在、“月13万円”の「遺族年金」を受け取っています。来年子どもが「18歳」になりますが、18歳を超えると遺族年金はどれくらい減ってしまうのでしょうか?
現在、遺族年金を受け取っている方にとって、「子どもが18歳になると遺族年金がどう変わるのか?」は非常に気になる問題です。実は、遺族年金の仕組みには「18歳」という年齢が大きく関わってきます。場合によっては、今までよりも数万円単位で支給額が減ることもあります。
 
本記事では、制度の基本ルールとともに、月13万円受給している場合にどのように金額が変化するのかを解説します。
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高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

18歳になると遺族年金はどうなる? 制度の基本ルールを解説

公的年金の遺族給付には主に「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。
 
このうち遺族基礎年金は、国民年金に加入している被保険者等が亡くなった場合で、一定の要件を満たしているときに、子どもがいる配偶者、または子ども本人に支給される制度です。子どもとは、「18歳到達年度の3月31日まで」または「20歳未満で障害等級1級または2級の状態」にある方と定められています。
 
つまり、この子どもの要件を満たさなくなった場合、配偶者だけでは遺族基礎年金を受け取ることはできません。
 
一方、遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者が亡くなった場合で、一定の要件を満たしている場合で、故人に生計を維持されていた配偶者や子ども、父母・孫などに遺族基礎年金に上乗せして支給されるものです。
 
そのため、子どもが18歳を超えた場合も、配偶者などには支給が続きます。ただし、子ども本人が受給者として遺族厚生年金を受け取っていた場合は、年齢制限により支給が終了します。
 
なお、2025年の年金制度改正により2028年4月からは、「子どもがいない」または、「子どもが18歳到達年度末を迎えたあと」は、遺族厚生年金の支給は、60歳未満で死別の場合、原則5年間の有期給付、60歳以上で死別の場合は無期給付となる予定です。
 

月13万円のケースでいくら減る? 支給額の変化を具体的にシミュレーション

遺族基礎年金と遺族厚生年金を合わせて「月13万円」受給している場合のシミュレーションを見ていきましょう。
 
まず、令和7年4月分からの遺族基礎年金の支給額は以下のとおりです。

●基本額:83万1700円(昭和31年4月1日以前生まれの場合、82万9300円)
●子ども1人の加算額:23万9300円(3人目以降の加算額は、7万9800円)

配偶者が昭和31年4月2日以後生まれで、子どもが1人の場合、年間支給額は107万1000円、月額換算で8万9250円です。
 
つまり、「13万円」のうち、遺族基礎年金として約9万円が支給されていることになります。子どもが18歳を迎え対象外になると、この約9万円分が停止されます。一方で、遺族厚生年金は継続され、残りの約4万円が支給されます。
 
もちろん、実際の遺族厚生年金の金額は被保険者(故人)の年収や加入年数によって異なるため、ねんきんネットや年金事務所で確認しておくと安心です。
 

受給額が減った後の生活にどう備える? 今からできる工夫

遺族年金が減ると、家計への影響は大きくなります。とくに毎月の受給額が数万円程度に減ると、生活費や学費のやりくりに直結するため、早めの準備が欠かせません。
 
将来に備えるために、次のような工夫を検討しておくと安心です。なお、40歳以上65歳未満の妻が対象となる「中高齢寡婦加算」が遺族厚生年金に上乗せされるケースもあるため、受給できるかどうかをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

●必要に応じて、パートや短時間勤務などで収入を補う手段を準備する
●公的支援制度(年金生活者支援給付金、生活保護など)を活用する
●子どもの進学を見据えて、学費や生活費を早めに計画し、奨学金などの活用も検討する

支給が終了するタイミングを正しく把握し、受給額が減った後の家計をどう補うかを考えておくことで、生活の不安を大きく減らせます。
 

まとめ:安心して暮らすために、今から準備しておこう

子どもが18歳になると、遺族基礎年金は基本的に支給停止となります。「月13万円」受け取っていた場合、「月4~5万円程度」までとなる計算です。
 
また、遺族厚生年金は2028年4月以降、子どもがいない場合や、子どもが18歳になると、原則として5年間の有期給付に変わる予定です。受給できる期間が区切られるため、より一層の生活設計が求められます。
 
将来の不安を減らすためには、年金の内訳を確認し、学費や生活費の不足分をどう補うかを検討することが大切です。日本年金機構の「ねんきんネット」や最寄りの年金事務所で確認し、早めに準備を進めておきましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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