「年金は月40万円」という両親。かなり“余裕のある老後”を過ごせると思うのですが、夫婦で「共働き」なら可能なのでしょうか?
月40万円といえば、現役時代にその金額で生活していても珍しくない水準ですが、老後に年金だけでその金額が得られるとなると、旅行や趣味を楽しみながら暮らす余裕があるように思えるかもしれません。
しかし実際のところ、夫婦で年金月40万円というのはどれくらい現実的な水準なのでしょうか?
本記事では、夫婦で年金を毎月40万円もらっている人がどれくらいいるのか、そのためには現役時代に年収いくら必要なのか解説します。
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「20万円以上の年金を受給する人」はどれくらいいる?
夫婦合計で毎月40万円の年金をもらっている人の割合について、公式に発表されているデータはありません。
1つの目安として、厚生労働省が示している2025年度の夫婦二人分の標準的な年金額は、月額で約23万円です。ここを基準にすると、40万円はこの標準を大幅に上回る水準です。
それでは、夫婦で年金を月に40万円もらうのはどれくらい難しいのでしょうか? 今回は単純に「夫婦それぞれが20万円ずつ」もらうイメージで考えてみます。
厚生労働省の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金(老齢基礎年金分含む)について、男性で月20万円以上を受給している人の割合は約24%です。一方、女性で20万円以上を受給している人はわずか1%程度しかいません。
この数字からも分かるように、夫婦そろって20万円を超える年金を受け取るケースはかなりレアといえます。
なお、「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」において、老齢厚生年金(老齢基礎年金分含む)の月額の受給金額に関するボリュームゾーンは、男性が毎月15~20万円、女性は10万円前後となっています。
このボリュームゾーンを踏まえると、夫婦がともに老齢厚生年金をもらえる場合でも、夫婦合計で月額25~30万円程度の年金受給額という世帯が多いといえそうです。
40万円の年金を得るにはどんな現役時代が必要?
それでは実際に、夫婦で40万円の年金を得ようとした場合、現役時代にどのくらいの年収が必要になるのでしょうか。
厚生労働省が提供する「公的年金シミュレーター」で試算すると、65歳時点で年金月20万円を得るためには、22歳から64歳までの間、平均年収約685万円を維持する必要があります(1980年1月1日生まれで試算)。
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は約460万円(男性:約569万円、女性:約316万円)です。平均年収約685万円を達成するには、現役時代の努力や勤め先、キャリアパスといった要素も影響してくるでしょう。
まとめ
「夫婦で年金40万円」というのは、非常に豊かな老後をイメージします。しかし、統計的に見ると、夫婦2人の標準的な受給額は23万円程度です。40万円を実現するには、夫婦それぞれが年収685万円前後を長期的に維持する必要があり、かなり高いハードルがあります。
老後資金の準備を考えるなら、「40万円を目指す」というより、「23万円前後をベースにして、足りない部分を貯蓄や資産運用で補う」ほうが現実的です。
まずは公的年金シミュレーターなどのツールを使い、実際に自身の家庭に置き換え、支出の予測と合わせて計算して備えてみましょう。
出典
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします
厚生労働省 令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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