“厚生年金”の上限額はいくら? “最高額”で生活している人はどのような人?

配信日: 2025.09.28 更新日: 2025.10.21
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“厚生年金”の上限額はいくら? “最高額”で生活している人はどのような人?
「厚生年金には上限がある」と聞いたことがあっても、実際にいくらなのか、どうすれば最高額を受け取れるのかは意外と知られていません。老後の生活を考えるうえで、自分が受け取れる年金額を知っておくことはとても大切です。
 
本記事では、厚生年金の上限額、最高額を受け取れる人の特徴、そして平均額との違いを解説します。
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厚生年金の上限額はいくら?

厚生年金の受給額は、加入者の給与と加入期間によって決まります。ただし、標準報酬月額には上限があり、65万円が最高区分とされています(なお、2025年に成立した年金制度改正法により、標準報酬月額の上限は2027年から2029年にかけて段階的に75万円まで引き上げられる予定です)。
 
また、ボーナスについては「標準賞与額」にも上限があり、1回あたり150万円までが反映されます。さらに、年金計算に反映されるのは年間で3回分までです。
 
これにより、どれだけ高収入であっても上限を超える部分については保険料計算の対象外となり、将来の年金額にも反映されません。
 
この仕組みのため、厚生年金の「受給額の上限」は理論上、月約30万3000円(2025年度時点)です。国民年金(老齢基礎年金)と合わせると、月約37万円(年間約447万円)が最高水準とされています。これ以上は、どれだけ高収入でも年金制度上は増えません。
 

最高額を受け取れる人の条件とは

では、誰がこの「最高額」に近い厚生年金を受け取っているのでしょうか。条件は大きく2つあります。
 
1.加入期間が長い人(最長54年間=648か月)
厚生年金は加入期間が長いほど年金額が増えます。16歳から70歳まで途切れなく加入し続けた人が理論上の最長加入者となり、最高額に近づきます。
 
2.給与・ボーナスともに上限に近い額を長期間得ていた人
大企業の管理職や専門職など、高収入で安定した給与やボーナスを長期間受け取っていた人が該当します。
 
つまり、高収入を長期間維持し、16歳から70歳までフル加入してきた人が、最高額に近い額を受け取れます。逆に、自営業者やパート勤務中心の人は厚生年金に加入していない、あるいは加入期間が短いため、最高額には届きません。
 

平均受給額と最高額の違いを比較

実際に厚生年金を受け取っている人の平均額はどれくらいでしょうか。厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢基礎年金を含めた厚生年金受給額の平均は月14万7360円です。
 
一方、理論上の最高額は月約37万円ですから、平均額の2倍以上にあたります。これだけ見ると大きな差に思えますが、最高額を受け取れる人は限られた一部です。
 
多くの人は平均前後の金額を受け取ることになるため、「最高額で生活できる人」はあくまで少数派であり、むしろ平均を基準に老後資金を考える方が現実的といえます。
 

まとめ

理論上の最高受給額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて月約37万円です。ただし、この金額に近い年金を受け取れるのは、長期間高収入を得てきたごく一部の人に限られ、実際の平均受給額は月14万7360円にとどまります。
 
この機会に「年金定期便」や「ねんきんネット」で将来の年金見込み額を確認し、老後の生活設計に役立ててみるのもよいでしょう。もし将来の年金額に不安があるなら、企業年金やiDeCo、NISAなどを組み合わせて準備しておくと安心です。
 

出典

厚生労働省 厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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