「専業主婦歴20年」…50歳から「パートで月15万円」稼ぐと、年金額はいくら増えますか? 10年加入での“受給額”を試算
専業主婦の場合、収入が一定額を超えなければ、加入するのは国民年金のみです。そのときの老齢年金は、月額7万円程度といわれています。本記事では、2つのケースにおいてもらえる年金額について予測します。
それぞれ年金見込み額を予測し、パート勤務を始めていくら年金額が増えるのかを予測してみましょう。
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目次
20代の会社員経験と60歳までの専業主婦期間でもらえる老齢年金はいくら?
まず、20代の会社員経験と、その後60歳になるまで専業主婦を続けた場合の年金額を概算してみます。老後の年金は、原則として65歳から受け取ることが可能です。
・20歳から29歳まで会社員として働き、厚生年金に加入(年収300万円程度と仮定)
・30歳から59歳になるまで専業主婦として、国民年金第3号被保険者に加入したと仮定
厚生労働省の公的年金シミュレーターで試算すると、このケースで65歳から受け取れる年金の見込み額は、年間で約99万円。月額にすると、約8万2500円もらえる計算です。
50歳から約10年間「月収15万円」のパート勤務で年金はどう変わる?
次に、50歳からパートを始めて、厚生年金に加入した場合の年金額をシミュレーションします。
・20歳から29歳まで会社員として働き、厚生年金に加入(年収300万円程度と仮定)
・30歳から49歳まで専業主婦として、国民年金第3号被保険者に加入
・50歳から60歳までパート勤務(月収15万円=年収180万円)を行い、厚生年金に加入したと仮定
この場合、将来もらえる年金の見込み額は年間で約110万円。月額にすると約9万2000円です。
年金の見込み額が増加した要因は、老齢厚生年金の加入実績が増えたためです。会社員時代の9年間とパート勤務の10年間の加入実績が上乗せされ、将来の年金額を大きく押し上げる要因となりました。
専業主婦を続けていた場合と比べると、パート勤務の場合は年間の年金受給額が約11万円増える計算です。
パートで年金を増やす際に注意すべき「壁」と手続き
将来の年金を増やすためにパートで働くことは有効ですが、厚生年金および社会保険に加入する際はいくつか注意点があります。
パートで年金を増やす際の注意点
例えば、月収15万円で働く場合、社会保険に加入する可能性が高くなります。パートが社会保険に加入するためには、原則として以下の要件を満たさなくてはなりません。
・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8万8000円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない
・従業員数が51人以上の企業で働いている
また、厚生年金への加入によって、その分の保険料が給与から天引きされます。一時的に手取り額は減りますが、将来の年金額が増えるため、長期的に見てメリットはあると言えそうです。
パートが社会保険に加入する際の手続き
社会保険に加入すると、それまで夫の扶養に入っていた国民年金第3号被保険者から、第2号被保険者に切り替わります。
切り替えの手続きは、パート先の会社が行ってくれることがほとんどです。しかし、自分で届け出をする場合もあるため、まずは勤務先に確認することが大切です。また、社会保険に加入するメリットは、老齢年金が増えるだけではありません。
万一、病気やけがで障害を負った際に、国民年金はもちろん厚生年金からも障害年金を受け取れる可能性があります。加えて、自分が亡くなったときに遺族へ支払われる遺族年金も手厚くなると考えられます。
つまり、パートで社会保険に加入することは、将来の経済的保障を厚くすることにもつながるのです。
老後の生活も見通して働き方を見直そう
50歳から年収180万円で社会保険および厚生年金に加入すると、老後の年金は年間で約11万円増えることが分かりました。
この年金額の増加によって、「将来の趣味や旅行の費用に充てられる」「生活費の足しになって安心感が増す」など、老後の生活のゆとりにつながる可能性があります。
今回のシミュレーションを参考にして、将来の経済的な安心感を得るために、ライフプランを見直してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
