65歳になって初めて振り込まれた年金の手取りが「月12万円」!15万円もらえるはずだったのに…なぜでしょうか?

配信日: 2025.09.30 更新日: 2025.10.21
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65歳になって初めて振り込まれた年金の手取りが「月12万円」!15万円もらえるはずだったのに…なぜでしょうか?
65歳になって初めて振り込まれた年金。いざ通帳を確認してみたら、想定していた金額よりも少なかった、というケースは珍しくないようです。
 
本記事では、年金の手取り額が想定よりも少なくなる主な原因である、年金から天引きされる税金や社会保険料の種類についてまとめました。
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年金から天引きされるものとは?

会社員の給与と同じように、老齢年金も支給額がそのまま手元に入るわけではないようです。年金からは、おもに以下の5つの税金や社会保険料が天引き(特別徴収)されます(条件に当てはまる場合)。

●所得税・復興特別所得税
●住民税および森林環境税
●介護保険料
●国民健康保険料(75歳未満)
●後期高齢者医療保険料(75歳以上)

これらの項目は、受給者本人の所得や世帯の状況、市区町村によって金額が異なります。
 

所得税・復興特別所得税

公的年金は、所得税法上「雑所得」に分類され、課税の対象です。令和6年9月時点では、65歳以上の方の場合、年間の年金収入が158万円(65歳未満の場合は108万円)を超えると所得税が源泉徴収されます。
 
所得税は、年金収入から「公的年金等控除」や「基礎控除」「配偶者控除」などの各種所得控除を差し引いた後の金額(課税所得金額)に、税率(5.105%)を掛けて算出されます。
 

住民税および森林環境税

65歳以上の公的年金受給者で、年金から天引き(特別徴収)されるのは、前年の年金所得に対して住民税が課税される人です。
 
特別徴収の1年目は、新年度の住民税額が決定する6月と8月は普通徴収(納付書による納付)となり、前年の税額に基づいて「仮徴収」が行われます。
 
10月・12月・翌年2月は、確定した税額から仮徴収分を差し引いた残額が、3回に分けて年金から天引きされます。
 
そのため、年度の途中で65歳になった場合など、住民税の納付方法が普通徴収(納付書で自分で納める方法)から特別徴収に切り替わるタイミングで、手取り額が変動することがあるでしょう。
 

介護保険料

65歳以上の人は介護保険の第1号被保険者となり、介護保険料を納めなければならないでしょう。年間の受給額が18万円以上の場合、原則として年金から天引き(特別徴収)されます。介護保険料の金額は、市区町村や本人の所得状況などによって異なります。
 
また、住民税同様、介護保険料も65歳になって初めて年金を受給する場合、すぐに特別徴収が開始されるわけではないようです。しばらくは納付書で自分で納める「普通徴収」となり、その後、特別徴収に切り替わることが一般的です。
 

国民健康保険料・後期高齢者医療保険料

国民健康保険料も、世帯主が65歳以上で、かつ世帯員全員が65歳以上75歳未満であるなど、一定の要件を満たす場合には年金から天引きされます。また、後期高齢者医療保険料も同様です。
 
ただし、介護保険料と国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)の合計額が、天引きの対象となる年金額の2分の1を超える場合は天引きは行われず、納付書や口座振替で納めることになります。
 
保険料の計算方法や料率は、納付先の市区町村(国民健康保険)や都道府県(後期高齢者医療制度)によって異なります。
 

手取り額を少しでも増やすためには

年金から天引きされる税金や社会保険料は法律で定められたものであり、基本的に完全になくすことはできないでしょう。確定申告を行ったり、各種控除を漏れなく申請したりして負担を軽減することが大切です。
 
生命保険料控除や医療費控除などがある場合、確定申告を行うことで払い過ぎた税金が還付される可能性があるでしょう。
 
また、日本年金機構に「扶養親族等申告書」を提出していない場合、配偶者控除や扶養控除などが適用されず、源泉徴収される所得税が高くなる傾向があるといえます。その場合も、確定申告することで、取り戻すことが可能です。
 

公的年金の支給額から、所得税や住民税、社会保険料が天引きされることで手取り額は減る

65歳で初めて受け取る年金の手取り額が想定よりも少ない金額だった、という経験は、多くの人がするかもしれません。
 
公的年金は雑所得となり、課税対象となること、また社会保険料が天引きされていることなどを理解しておくことで、過度な不安を抱えることがなくなるでしょう。
 
年金は、私たちの老後生活を支える大切な収入源です。年金制度や税金の仕組みについて学びを深めておき、老後生活に備えましょう。
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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