月20万円の年金を受け取るには、現役時代の年収はいくらくらい必要? 月20万円の年金を受給している人の割合も解説

配信日: 2025.10.03 更新日: 2025.10.21
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月20万円の年金を受け取るには、現役時代の年収はいくらくらい必要? 月20万円の年金を受給している人の割合も解説
老後に「月20万円の年金が欲しい」と考える人もいるかもしれませんが、実際には現役時代の収入や加入していた年金制度などによって、受け取れる額は大きく異なります。
 
公的年金だけで月20万円を受け取るためには、どの程度の年収が必要なのでしょうか。また、実際に月20万円の年金を受給している人の割合はどのくらいなのでしょうか。
 
本記事では、データをもとに解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

月20万円の年金を得るために必要な現役時代の年収

公的年金は、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」で構成されています。そのうち、国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての方が加入し、受け取ることとなるのは国民年金(基礎年金)です。
 
その金額の満額は、令和7年度ベースで83万1700円、月額6万9308円です。国民年金は、収入の額に関係なく、保険料納付済月数や免除期間で受給額が決まります。そのため、年金だけで月20万円もらおうと思ったら、残りの約13万円を厚生年金で賄う必要が出てきます。
 
では、その厚生年金について見ていきましょう。厚生年金とは、会社員や公務員などが加入する、国民年金に上乗せされる形式の年金です。その額は、厚生年金に加入していたときの報酬額や加入期間などに応じて変動し、人による個人差が大きい部分になります。
 
ここでは厚生労働省の公的年金シミュレーターを用いて計算してみましょう。
 
条件は下記とします。
 

・1990年10月生まれ
・20歳から21歳は国民年金
・22歳から59歳は年収850万円で厚生年金保険に加入
・65歳から受給開始

 
上記の条件で得られる年金額が年額244万円となり、月額約20万円です。
 

月20万円を受け取っている人の割合

厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」によれば、老齢年金(老齢基礎年金含む老齢厚生年金)を月額20万円以上受け取っている方の割合は、たったの16.3%です。2割にも達しません。
 
そして、なんと年金月額15万円未満の方の割合が全体の52.4%となっており、半数以上が20万円もの額の年金を得ることができていません。そのため、月額20万円もの額を得られるのはごく一部の方と考えてもよいでしょう。
 

年金月額20万円を実現するための工夫

毎月20万円の年金収入を得るのは簡単ではありませんが、それに近づけることは可能です。
 
その方法のひとつは、厚生年金保険の加入期間を長くすることです。定年後も働き続けるなどして、1年でも長く厚生年金保険に加入することで、受給額を増やすことができます。
 
また、繰下げ受給の活用も有効です。ひと月繰り下げるごとに0.7%受給額が増えるため、65歳から受け取る年金を70歳まで繰り下げれば42%増額、月14万円の年金であれば月20万円近くになります。
 

まとめ

月20万円の年金を受け取るには、現役時代に年収850万円以上の年収を長期間維持し、厚生年金保険に加入していることがひとつの条件となります。しかし、実際にこの水準を達成している人は全体の2割に満たず、容易ではありません。
 
したがって、どうしても月20万円の年金収入を確保したいのであれば、長期間厚生年金保険に加入したり、繰下げ受給を検討したりすることになるでしょう。
 
老後に年金だけで思うような収入を得ることは厳しいという現実を理解しつつ、少しでも理想の老後を過ごすためにも、できる限り早いうちから、年金と向き合っていくことが大切でしょう。
 

出典

e-Stat政府統計の総合窓口 厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業統計 厚生年金保険・国民年金事業年報 令和5年度 総括表(厚生年金保険) 12 厚生年金保険(第1号) 年金月額階級別受給権者数
厚生労働省 公的年金シミュレーター
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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