うちも支給されるかも? 年金にプラスされる加給年金の対象・金額・もらえる条件を解説!
今回は「加給年金」について、解説していきます。
夢実現プランナー
2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
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加給年金とは
加給年金とは、扶養している家族がいる厚生年金保険の被保険者が年金を受給できる65歳になったときに、老齢厚生年金に加算される年金制度になります。
被保険者が厚生年金保険に20年以上加入していることが必要で、扶養している配偶者や18歳未満の子どもがいる場合に支給されます。
配偶者の場合は65歳未満であることが必要ですが、配偶者が65歳に達した時点で、加給年金の支給は終了となります。また、18歳に達した年度の末日までの子どもいる場合には、配偶者への加給年金に加えて、子どもに対しても支給されることになります。
ただし令和4年3月までは、老齢厚生年金の被保険者期間が20年以上など受給の権利のある配偶者が在職中であっても加給年金を支給していましたが、令和4年4月以降からは全額支給停止となりました。
また60歳で退職した場合でも、厚生年金の受給権は有しているため、加給年金は支給停止となります。
59歳の専業主婦の場合は
今回のご相談いただいたケースを見てみましょう。
65歳で年金の受給を開始した夫に扶養されていた59歳の妻ですので、この時点では、支給の要件を満たしています。令和7年4月からの加給年金の額は、図表1の通りです。
図表1 加給年金額(令和7年4月から)
| 対象者 | 加給年金額 | 年齢制限 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 23万9300円 | 65歳未満であること (大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません) |
| 1人目・2人目の子 | 各23万9300円 | 18歳到達年度の末日までの間の子 または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子 |
| 3人目以降の子 | 各7万9800円 | 18歳到達年度の末日までの間の子 または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子 |
※日本年金機構「加給年金額と振替加算」より筆者作成
また加給年金には生まれ年に応じて、特別加算がされています(図表2)。
図表2 配偶者加給年金額の特別加算額(令和7年4月から)
| 受給権者の生年月日 | 特別加算額 | 加給年金額の合計額 |
|---|---|---|
| 昭和9年4月2日から昭和15年4月1日 | 3万5400円 | 27万4700円 |
| 昭和15年4月2日から昭和16年4月1日 | 7万600円 | 30万9900円 |
| 昭和16年4月2日から昭和17年4月1日 | 10万6000円 | 34万5300円 |
| 昭和17年4月2日から昭和18年4月1日 | 14万1200円 | 38万500円 |
| 昭和18年4月2日以降 | 17万6600円 | 41万5900円 |
※日本年金機構「加給年金額と振替加算」より筆者作成
ただし、前章にある加給年金の支給停止要件を見ると、今回の相談者である専業主婦で59歳の妻が、これまでに会社員などの期間があり、前章の要件を満たし、60歳から老齢厚生年金の受給権を有している場合は、配偶者が60歳になると加給年金の支給が全額停止の要件に該当してしまう可能性があります。
要件を満たしていない場合は、60歳以降も加給年金を受給することができることになります。
最近、注目されることがある、年金の繰下げ受給を考えるときにも注意点が必要です。
年金の繰下げ受給を選択した場合は、この年金を受け取っていない期間は加給年金も支給停止となります。また、年金の繰下げ受給のメリットされる繰下げ期間に応じた増額は、加給年金には適用されません。
まとめ
加給年金は、年金制度において「家族手当」のような位置付けといえます。40歳以上65歳未満の配偶者がいる場合に、被保険者が65歳になり老齢厚生年金を受け取り始めると、加給年金も受け取ることができるようになります。
しかし令和4年4月以降は、老齢厚生年金の受給権を有している配偶者に対して、加給年金の支給が全額支給停止となるケースも出ています。また、被保険者の夫が繰下げ受給をする場合には、加給年金は支給されず、増額もない点には注意が必要です。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
執筆者 : 吉野裕一
夢実現プランナー
